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スキージャンプ“日本に不利益なルール変更”は真実か? 岡部孝信「スキー板が5、6cm短くなった」当事者の“本音”「それでも不利とは言いたくない」
posted2026/02/10 11:52
長くスキージャンプの第一線で活躍した岡部孝信。現在は雪印メグミルクのスキー部総監督を務めている
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松原孝臣Takaomi Matsubara
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「5、6cm短くなりました」スキー板のルール変更
長野五輪のジャンプ競技で日本が獲得したのは団体戦の金メダルだけではない。ノーマルヒルでは船木和喜が銀メダル、ラージヒルでは船木が金メダル、原田雅彦が銅メダルを獲得した。ワールドカップでの成績を含め、日本はジャンプ王国として君臨していた。
だが状況は暗転する。長野五輪の翌シーズンである1998-99シーズン、ルール改正が行われた。その中の1つにスキー板に関するものがあった。使える長さについて、それまでは「身長+80cm」だった規定が、「身長の最大146%」になったのである。いわゆる「146%ルール」として知られるものだ。
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それが選手にどう影響するか。身長174、175cmあたりでは使用できるスキー板の長さにほぼ差はない。だがそれより小柄だと、使えるものはより短い板になる。逆に高身長ならより長い板を使えることになった。浮力などにかかわってくるだけに、その違いは大きい。
身長165cmの岡部はどうだったか。
「5、6cm短くなりました」
「でも、不利とは言いたくない」岡部孝信の誇り
1997-98シーズン、岡部は「調子が上がらなかった」という中でも、ワールドカップで総合16位の結果を残している。ところがルール改正後の1998-99シーズンは38位。1999-00シーズンは33位、2000-01シーズンは49位……と大きく下がった。岡部に限らず、日本勢の成績は下降した。それゆえに、当時も今も、このルール改正は「日本たたき」ではないかと捉える向きが生まれた。
岡部はどう考えるか。
「どうなんだろうな……。最初は不利だと思いました。結果的に日本は成績が落ちたし、不利なのかなと。スキー板は長い方がいいですからね」
そして続ける。
「だけど、不利とはあまり言いたくない、ルールの中で勝っていくようにしないといけないという思いも自分の中にありました」
ルールのせいにしたくないというのは、トップジャンパーとしての誇りから来るものではなかったか。

