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「品格のない力士に聞かせたい挨拶」“朝青龍とバトル”内館牧子は将棋も愛した…米長邦雄に「タマは取られても?」ビックリ質問したことも
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田丸昇Noboru Tamaru
photograph byBUNGEISHUNJU/JIJI PRESS
posted2026/02/14 06:00
相撲のイメージが強い内館牧子だが、米長邦雄との縁など将棋も愛した人物だった
下手の内館は攻めあぐんだが、▲2四同飛と王手金取りをかけて優勢になった。観戦者からヨコとタテに同時に利かす「十字飛車の手筋だと言われた。そして▲5六金直で、内館が見事に勝った。何度も習った「頭金」の詰みだ。中村に教わりながらの勝利だったが、将棋を覚えて1年後の「六十の手習い」としては立派なものだ。不断の努力の成果といえる。
里見香奈17歳に感動…品格のない力士に聞かせたい
内館は『将棋世界』誌で「月夜の駒音」という表題のエッセーを、2009年から15年まで連載した。本業のドラマ脚本、社会の出来事、身辺雑記、プロレスや相撲、そして将棋の話題と、題材は多岐にわたった。それらの中からいくつかの文章を抜粋で紹介する。
《知り合いの女性が2人の男性と付き合っていたが、どちらも決めかねずに失った。将棋も同時に二手は指せない。一手を決めて、もう一手を断つ。決断とはよくした言葉だ。彼女も将棋を知っていれば、早い決断で道が拓けたかもしれない》
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《17歳の里見香奈女流名人は就位式で、「女流名人にふさわしいように、立ち居振る舞いに気をつけて棋力向上を目指したい」と挨拶した。これは「ただ者」には言えない。私は感服し、品格のない力士に聞かせたいと思った》
《広島の弱小大名だった毛利家は、元就の代になって大きく飛躍した。しかし敵の尼子一族に「当家は狭い領地の統治に慣れているが、広い領地は不慣れだ」と言って、その統治を任せた。昨日の敵を「持ち駒」にする知略を学びたいものだ》
そして最終回には《将棋を始めて8年。今は棋士の講義を受けていないが、スター棋士の写真を貼ったノートに自習日記をつけている。今後も大好きな将棋と距離を置かないつもりだ》と結んだ。
米長が死の4カ月前に、内館と話したこと
私こと田丸は2021年に、米長邦雄永世棋聖の評伝『名人を獲る』(国書刊行会)を出版した。最後に、その中から晩年の米長が内館と会ったエピソードを紹介する。


