西山朋佳vs福間香奈の白玲戦と藤井聡太七冠「棋力の担保」週刊誌報道…現場の様子は「賛成か反対かではなく確認」総会にいた田丸昇九段の感触

　女流棋界の最高峰であるヒューリック杯白玲戦。今期からは優勝賞金が1500万円から5000万円（特別賞の1000万円を含む）に大幅増額された。さらに6月6日に開かれた将棋連盟総会では、白玲を5期獲得すれば、フリークラス編入の形で棋士になれる議案が上程され、賛成多数によって可決された。それらを受けて注目されている白玲戦は、女流棋界の二強である西山朋佳白玲（女流王将を含めて二冠＝30）と福間香奈女流六冠（清麗・女王・女流王座・女流名人・女流王位・倉敷藤花＝33）が対戦した。初の女性棋士誕生や女流棋界の勢力図に関わる大勝負を、田丸昇九段が解説する（肩書、段位などは初出以外省略）。

白玲戦の価値に見合った将棋を

　ヒューリック杯第5期白玲戦七番勝負第1局は、8月30日に東京都港区「グランドニッコー東京 台場」で開幕した。前夜祭で関係者、対局者は以下のように挨拶をした。

「棋譜を並べるのも楽しい実力伯仲のお二人の対戦になりました。第5期はフリークラス編入の可能性が高まる新しいスタートであり、お二人になっていただきたい気持ちがあります」（主催者・ヒューリックの西浦三郎会長）

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「今期の白玲戦は、全国から熱い注目をいただいています。賞金を増額していただき、女流棋士には鍛錬と努力の先に大きな希望を、女流棋士を目指す子どもたちには夢を与えていただきました」（日本将棋連盟会長の清水市代女流七段＝56）

「今回は白玲戦のさらなる発展をしてくださり、女流棋界のモチベーションを大きく上げてくださいました。その価値に見合った将棋を指して頑張ります」（西山白玲）

「昨年に妊娠を発表したとき、西浦会長には《元気な赤ちゃんを産んでね》とお声がけをいただきました。おかげで無事に元気な赤ちゃんを産むことができました。完全燃焼できるように頑張りたいと思います。白玲戦を戦えることを幸せに思っています」（福間女流六冠）

福間、西山ともに期する思いがあるワケ

　福間の「幸せに思う」という言葉には、切実な思いが込められている。

©Keiji Ishikawa

　西山に挑戦した昨年の白玲戦では、2勝2敗の時点で妊娠による体調不良で対局が不可能になった。

　福間は昨年11月から今年2月まで休場し、将棋連盟に3月以降の対局延期を願い出た。ともに代理人の弁護士を立てて協議したが、女流タイトル戦の年間スケジュールは決まっていて調整は難航した。連盟はその後、「対局の日程調整は難しく延期はできない」と発表。白玲戦の第5局・第6局は福間の不戦敗となり、西山が3期目の白玲を獲得した。福間は連盟の裁定を受け入れたが、対局できない無念さを周囲に訴えたという。

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