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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「ここは天国か」海外挑戦4年目、ついにMLB球団と契約! 元DeNA乙坂智“夢の入口での1カ月半”からの失意「毎日毎日、スタメン表に名前がなくて…」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byTomo Otosaka
posted2026/02/09 11:00
海外挑戦4年目にして、ついにシアトル・マリナーズと契約。傘下の3Aタコマ・レイニアーズでプレーした乙坂
これまで生きてきたなかで一番大事な時間になった
「特にほとんど出場できなかったラストの2週間は、これまで生きてきた32年間で一番大事な時間になったんです。僕は日本にいたときは一軍ではスタメンや代打で、ファームならばほぼ毎試合出場していました。それはメキシコやベネズエラ、米独立リーグでも同様でした」
学生時代から、試合があればグラウンドに立つことが当たり前の選手だった。しかしマイナーではベンチを温める機会が多く、これほど出番を与えられないのは野球人生で初めての経験だった。
「本当にきつかったんですけど、今振り返れば、人の痛みを知ったというか、高校時代ベンチに入れなかった3年生の気持ちってこういう感じなのかなって思ったりもしたんです。試合に出たいけど、出られない選手の心情というのか。
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目の前ではメジャーを目指す20代半ばの選手がバリバリやっているのを、30まわった自分がずっとベンチにいて、ハイタッチで迎えるだけなのはタフなことです。3年間もがきつづけて、4年目にようやくたどり着いた場所ですからね。本当、ボコボコにされた気分でしたよ」
次の道を決める電話が鳴った
苦笑した目尻に皺が浮かぶ。プライドも自尊心も生き方も否定された気分だった。しかしその初めての激しい痛みは学びであり、人生を豊かにし、深みを増すものだと乙坂は気づき、今は一番大事な経験だったと肯定することができている。マイナー経験は短期間だったが、人生をトータルで見れば掛け替えのない時間になった。
リリース後、乙坂はチームから1週間、シアトルに滞在していいと伝えられた。メジャーへの道が断たれた今、今後の身の振り方を漠然と考える日々。そんなとき乙坂の次の道を決める運命の電話が鳴った――。
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