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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「ここは天国か」海外挑戦4年目、ついにMLB球団と契約! 元DeNA乙坂智“夢の入口での1カ月半”からの失意「毎日毎日、スタメン表に名前がなくて…」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byTomo Otosaka
posted2026/02/09 11:00
海外挑戦4年目にして、ついにシアトル・マリナーズと契約。傘下の3Aタコマ・レイニアーズでプレーした乙坂
「最初は毎日試合に出て、調子がよければメジャーへなんて安易に考えていたのですが、実際は選手になにかあったときの代役でした。朝球場に行って、その日のスタメンの張り紙を見て、名前がなければ出番はないし、また明日かって。で、翌日も、その翌日も名前がないことがつづいて、メンタル的にきつかったですね」
5月16日のアルバカーキ・アイソトープス戦でマイナーデビューを果たした乙坂だったが、入団発表から約1カ月半後の6月28日にチームをリリースされてしまう。試合出場はわずか9試合(スタメンは6試合)。23打数6安打、2打点、打率.261という成績で、乙坂はようやく立った夢の入口に背を向けざるをえなかった。
試合に出られれば自信はあったけれど
少しだけ悔しさを漂わせ、乙坂は言った。
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「試合に出られれば結果を残す自信はありました。ただそういう状況を作れなかった自分の責任です」
メジャーを目指すシビアな環境。チームメイトはフレンドリーだったが、試合に挑む際の目の色の違いや、野球に取り組む姿勢に圧倒された。乙坂も負けじとこれまでの経験を総動員して取り組んだが、目指す高みには到達することはできなかった。
レイニアーズのジョン・ラッセル監督にリリースを言い渡されたとき、乙坂の頭のなかは真っ白になった。監督やスタッフ、チームメイトにハグをして別れの挨拶をするが、どこか現実の世界のように思えなかった。
そして帰りのタクシーで、茫洋としていた頭にある思いが浮かんだ。
「みんな、ごめん……」
目を伏せ、乙坂は吐露する。
「日本の練習仲間や応援してくださっている方、そして家族に『絶対にメジャーに行く!』って啖呵を切っていたので、本当にごめんって……」
チャンスを掴むことはできなかったが、それでもこの経験は乙坂にとって有意義なものになったという。

