- #1
- #2
ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「ここは天国か」海外挑戦4年目、ついにMLB球団と契約! 元DeNA乙坂智“夢の入口での1カ月半”からの失意「毎日毎日、スタメン表に名前がなくて…」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byTomo Otosaka
posted2026/02/09 11:00
海外挑戦4年目にして、ついにシアトル・マリナーズと契約。傘下の3Aタコマ・レイニアーズでプレーした乙坂
「オフにこれまでにないほどの濃い時間を過ごしてきたので、あれだけやってきたんだから……という思いがあったんです。同時に、この挑戦をサポートしてくれた人や応援してくれていた人に、いいニュースが届けられるなという思いもありました。ちょっとだけ恩返しできたかなって」
柔らかい表情をして乙坂は語った。
乙坂はマリナーズ傘下であるトリプルAのタコマ・レイニアーズに配属された。メジャーではないが、初めて体験するMLBの空気。気持ちはもちろん高揚したが、意外だったのはその環境だった。
ADVERTISEMENT
「マイナーはよく“ハンバーガーリーグ”って言われて環境がよくない、なんて話を聞きますけど、毎日芝を刈るスタジアムはすごくきれいですし、足に負担が掛からず、人生で一番いいと感じた球場でした。また食事も肉、魚、果物がふんだんに用意されていますし、遠征の際も自分で荷物を運ぶこともない。練習設備も整っており、コーチもずっとついてくれる。はっきり言ってNPBより環境がよくて、ここは天国かと思いましたよ」
夢と現実とのギャップ
乙坂は笑いながら言った。中南米など他国のリーグを知っているだけに、その言葉には実感がこもっていた。
さあ、あとは結果を出すだけだ。マリナーズしかり、レイニアーズでも怪我人が出ていたとのことで、そこに補填されるものと乙坂は最初考えていた。だが、現実は違った。
「チームに合流すると、1番から3番までが外野手で固められて、僕が出る余地がなかったんです。マイナーは育成の場ですし、どれだけ打席に立たせるかといった計画もあったようで、なかなか出番が回ってこない。いくら点差が離れていても、スタメンが最後まで守備につき代打を送ることもないんです。レフトの選手がDHに入るときは自分がスタメンなのですが、それも週に1回のことでした」
チームの方針の前に、乙坂はジレンマを抱えることになる。

