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4年前に引退…なぜ小平奈緒は愛されたのか? 15年追った記者が見た“その決定的な理由”「小平の前では誰一人、敗者がいなかった」五輪金メダリストの素顔
posted2026/02/08 06:00
2018年平昌五輪の500mで日本女子スピードスケート界史上初となる金メダルを獲得した小平奈緒。写真は2022年10月、引退会見
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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JIJI PRESS
2018年平昌五輪の500mで日本女子スピードスケート界史上初となる金メダルを獲得した小平奈緒。前回の北京五輪に出場し、2022年10月での引退を表明した。なぜ小平は愛されたのか。15年追った記者が見た、稀代のアスリートの実像とは。話題を呼んだノンフィクション記事のハイライト版をお届けする。
やさしさを、とことんまで貫く人だ。
小平奈緒が現役を引退する意思を表明したのは、前回の北京五輪を終えた直後の2022年4月12日、生まれ故郷である信州・長野での会見だった。そこで小平が語った「自分自身でゴールラインを決めたのは初めて」などの言葉の端々には、彼女が愛される理由が溶け込んでいた。
胸を打たれた小平の言葉
この会見で特徴的な点が二つあった。一つは「ラストレース」を半年前に“告知”したこと。もう一つはシーズン開幕戦のたった1レースだけを最後に選んだことだ。
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「先に言っておいた方が多くの人が後悔しないかなという思いがありました。もともとたくさんの人と思いを一緒にしながら滑りたいという気持ちがあるので、早い段階で言っておいた方がいいかなと思いました」
人の気持ちを先読みしての配慮。そして開幕戦を選んだ背景には、次世代スケーターたちへの思いが込められていた。
「現役アスリートとして地域と関わりを持ちながらシーズンを過ごしてみたいと考えたことです。次の世代にバトンタッチするにもすごくいい機会だと感じました」
小平は平昌五輪で女子500mの金メダルを獲得した。0秒39差で敗れた2位の李相花(イ・サンファ)はレース後に泣きじゃくった。そんな李に小平は寄り添い、肩をそっと抱いた姿が世界中の人々の心を打った。
