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「絶対に復活します」北京五輪直前には大ケガも…スキージャンプ・丸山希(27歳)が“ミラノ五輪の金候補”になるまで 大躍進のカギは「恐怖心」と「足裏」
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雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/02/07 17:03
北京五輪前の前十字靭帯断裂という大ケガから復帰し初の五輪の大舞台に挑む27歳の丸山希。遅咲きの新ヒロインはどんなジャンプを見せるのか
冬になるとW杯メンバーに選ばれたため、開幕戦を回避してその1カ月後の2戦目から参戦し、リハビリ期間を確保した。おそるおそるの復帰ではあったが、後半戦で初めて表彰台に上がるなど順調な回復ぶりを示していく。シーズン終盤に行われた世界選手権でも、ラージヒルで4位と日本勢の最高位に食い込んだ。
ところが、そこからは思ったような上昇曲線を描けず、W杯で一桁順位に入ることも減っていった。停滞する丸山は自分の中に「少しの恐怖心」が残っていることに気づいていた。
そこで昨シーズンを終えてから取り組んだのが、「常にヒルサイズの95%を目指す」という飛距離を出すことに特化した練習だ。ゲートを上げて助走スピードの助けを借りてでも、まずは距離を届かせることを優先する。
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「最初はこんなに下まで飛ばなきゃいけないの?って驚きました。でも、慣れると『遠くまで飛ぶ』というスキージャンプの純粋な楽しさを求められるようになりました」
もうひとつの足裏は、昨シーズンの世界選手権前に男子代表ヘッドコーチの作山憲斗からアドバイスされたものだ。作山は北野建設で現役時代を過ごし、引退後にコーチに転身。横川とともに同社のコーチとして丸山のこともずっと見ていた。
「基本のキが抜けてたんだなと…」
あれもこれもと考えすぎて「こんなにジャンプって楽しくなかったっけ」と思うほど悩んでいた丸山に、作山が言ったのはシンプルなことだった。
「とにかく足裏をイメージしてやってみて」
この言葉をよりどころに臨んだ世界選手権では、ラージヒルで7位だった。
「足の裏ひとつで7位まで持ってこれるっていうのは、基本のキが抜けてたんだなと気づきました。だから、この夏はそこから始めました。足の裏ができた。今の滑りをもう1回やってみよう。できた。じゃあ次はかかとの方をもうちょっと意識して踏んでみようって。時速90kmのスピードの中でどこに乗っているかが繊細にわかるように、それをテーマにやってきました」

