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猛牛のささやきBACK NUMBER
「試練の連続…葛藤がありました」オリックス若月健矢を救った中嶋聡・前監督の言葉「実は連絡を取っていた」“黄金コンビ”山本由伸と描く新たな夢
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNanae Suzuki
posted2026/02/08 11:02
WBCで再びゴールデンバッテリー結成なるか
失敗の経験が邪魔に…出場機会激減
やがてオリックスに転機が訪れる。2年連続最下位へまっしぐらだった2020年8月、西村徳文監督に代わり、中嶋聡二軍監督が一軍監督代行に就任。その年のオフに正式に監督に就任すると、翌2021年、チームを25年ぶりのリーグ優勝に導き、そこから3連覇を成し遂げることになる。
そのチームの転換期に、若月はピンチに陥っていた。中嶋監督は、それまで内野手やDHで出場することの多かった伏見寅威(現阪神)を捕手として積極的に起用し、若月の出場機会が激減したのだ。
その頃の自身の状況について、若月はこう明かす。
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「マスクを被って失敗を重ねていくと、どんどん固定観念ができて、悪循環に陥ってしまう。『同じ失敗はしたくない』と思うことで、(リードの)選択肢がどんどん狭まってしまっていたんだと気づきましたね。
寅威さんは逆にそれまであまり一軍でマスクを被る機会がなかったので、僕が見ていて『え? こんな球行くんだ!』と思うようなリードをしていました。頓宮(裕真)もその頃キャッチャーをやっていたんですけど、怖いもんなしでいろんなサインを出していて、『あー、俺も前はこんなふうにやっていたのかな』って。ベンチではそう思うけど、実際に自分がマスクを被ったら、なかなかそんなふうにはできない。葛藤がありました」
若月を変えた中嶋前監督の言葉
中嶋監督は代行時代、そんな若月を見かねて言った。
「もう全部取っ払ってやれよ」
思考を変えることは簡単ではないし、正捕手を務めてきたプライドもあっただろう。しかし21年シーズンも、オープン戦で若月はほとんど起用されず、開幕後は2週間まったく出番がないという期間もあった。過去の実績は関係ない、変わらなければあとがないと痛感し、「これは本当に頑張るしかない」と腹を括った。
「中嶋さんにいろいろ聞いたりして、取っ払うというか、新しいものを取り入れようとしました」


