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「同期はとにかく個性派揃い」青学大前主将・田中悠登の箱根駅伝優勝秘話「外出禁止提案でミーティング大荒れ」「手洗い徹底に川柳大会発案」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/01/08 11:02
2024年シーズンの4年生は強力なメンバー揃いであると同時に個性派揃いだった。田中さん(前列右端)はキャプテンとしてチームの一体感を高めるために様々な努力をしたという
迎えた第101回箱根駅伝。青学大は往路、4区で太田蒼生が区間賞の走りで中央大との差を大きく詰めると、5区の若林宏樹も区間賞で逆転、往路優勝を果たした。
差を詰められて怖かった
復路も6区の野村昭夢が区間新の走りで首位を独走した。7区中継地点で2位駒澤大と4分07秒差があり、これからビクトリーロードだなと思った矢先、7区佐藤圭汰(駒澤大・3年)が区間新の走りを見せ、駒澤大に1分40秒差に詰められた。
「待機所で待っている時は、7区でかなり差を詰められたので怖かったです。正直、負けている状態や同時とかでは来てほしくないと思っていました(苦笑)。でも、最後はキャプテンとして、どんな状況であれ、仕事をしようと腹を括りました。そうしたら塩出(翔太・3年)がいい走りをしてくれたので、余裕を持って走れました。あの大歓声の中、箱根駅伝を先頭で走ることができたのは、すごく幸せだなぁって思いました」
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トップでアンカーの小河原陽琉(1年)に襷を渡すと、田中さんはゴールして10分も経たずして、近くの鶴見市場駅に向かった。
電車に飛び乗ってゴールへ
「大手町で笑おう、って言っているキャプテンがゴールにいないのはさすがにまずいと思ったので、事前に、自分は何分で走るから何時にゴールして、何分の電車に乗れば大手町のゴールに間に合うのかを計算していたんです。
駅に向かう途中では、ファンの方がゴールに間に合うようにアシストしてくださってありがたかったですね。でも、電車に飛び乗ったら酸欠になって意識が朦朧としてしまって。付き添いの後輩に支えてもらってなんとか間に合いました」
大手町で、小河原がゴールテープを切った瞬間、「大手町で笑おう」の物語は完結した。選手には笑顔が溢れ、田中さんも仲間と抱き合い、喜びを爆発させた。だが、伊藤雅一コーチのうれしそうな顔を見た瞬間、涙腺が決壊した。
「ゴール付近で、みんなと喜び合っていたんですが、伊藤コーチの顔を見た時は、もう経験したことがないぐらいの涙があふれてきました。伊藤コーチは僕が1年の時に同じタイミングで青学に来られて、その時から将来、こんなチームを作りたいんですという思いをよく聞いてもらっていたんです。
4年でも、自分が怪我でギリギリの時、伊藤コーチに背中を押してもらいました。一緒に歩んできたという思いがありましたし、優勝してギュっと張り詰めたものが解けた感覚もあって、ちょっとヤバかったです(苦笑)。でも、1年間、思い描いていた風景がそこで見られたのは本当にしあわせでした」
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