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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥の背筋「もはや芸術的」ピカソ戦前“ヒリつく現地練習”にカメラマン密着「仕上がりは万全…正直ホッとしました」中谷潤人も“異変”なかった
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/12/31 17:35
12月23日、現地リヤドの「マイク・タイソン・ボクシング・クラブ」で最終調整を行う井上尚弥
「中谷潤人も安定していた」“異変”はなかった試合前
――“もうひとりの主役”ともいえる中谷潤人選手の試合前のコンディションはどう映りましたか?
山口 潤人選手についてはオフィシャルの行事があるときに会場で撮影し、顔を合わせるくらいだったのですが、状態はよかったと思います。潤人選手って、本当にメンタルコンディションが安定しているんですよ。いつも声をかけるとニコッと柔和な笑顔を返してくれて……。尚弥選手以上に、表情に変化が出ない。15歳からアメリカに渡って生きてきていますから、でたらめなことが起きるのが当たり前という感覚なんでしょうね。
――それぞれの対戦相手についても伺えれば。アラン・ピカソとセバスチャン・エルナンデス、両選手の試合前の印象はどうだったんでしょうか。
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山口 ピカソ選手もよさそうに見えましたね。公開練習で見せていたミット打ちもキレがありましたし、この時点では「ちゃんとやる気を持ってリヤドに来ているんだな」と感じました。エルナンデス選手はいかにもタフそうで、「後半になっても落ちないんだろうな」という印象です。でも、中谷潤人のこれまでの試合を見ているので、そういった相手でもコツコツ削り取って、最後に仕留める絵をなんとなくイメージしていました。
――イベント全体としては、残念なアクシデントもありました。WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチを予定していた堤駿斗選手が、スパーリング中の眼窩底骨折で欠場。今永虎雅選手は、12月に入って急きょ対戦相手が変更に。そして前日計量後、寺地拳四朗選手が挑戦する予定だったIBFスーパーフライ級王者ウィリバリド・ガルシア選手が体調不良でまさかのキャンセル。寺地選手の涙は見ていて苦しくなりました。
山口 試合が流れてしまったり、対戦相手が変更になるのは誰が悪いとかではなく、仕方がないことではあるんですが……。拳四朗選手はこの試合にかけていたと思うので、辛かったですね。ただ、アクシデントがあっても「変な空気が流れているな」とは感じませんでした。もちろん私の知るかぎりではあるんですが、尚弥選手も潤人選手も、試合前の時点での異変といえるようなものはなかったと思います。
――試合当日の話を伺います。まず、堤麗斗選手が4回TKO勝ちを収めました。しかし続く試合で今永選手が8回にダウンを喫し、プロ初黒星。日本で配信を見ていた身としては、このあたりでいくばくかの不安がよぎったのですが……。
<続く>


