甲子園の風BACK NUMBER
「ルールを破っても罰則なし」「時に二郎系ラーメン」“入寮希望”が多い甲子園V経験校のリアルな寮生活「本音を言えば地元に…」監督らが語る
text by

間淳Jun Aida
photograph byJun Aida
posted2026/01/01 11:03
高校野球部の寮生活が思わぬ形で注目された2025年だが……甲子園経験校はどんな生活をしているのか
「中学生のスカウティングは年々、動きが早くなっています。甲子園で何度も優勝経験のある強豪校から声をかけられたら、中学生も保護者もうれしいですよね。本音を言えば、地元に残ってほしいです。県外に選手が出ていくのは、うちがそこまで魅力的な学校になれていない表れだと思います」
石岡監督はコーチを経て、2020年からチームを指揮している。県外からの選手も受け入れているが、県内出身選手を中心にしたチーム構成を軸に据える。県外の中学生をスカウティングすることは基本的にないという。
「ありがたいことに、昔からのつながりで毎年のように選手を送っていただいたり、うちのチームでプレーしたいと県外から選手が来たりしています。学校に問い合わせが来るケースもあります。県外から選手を獲っているというイメージを持たれているかもしれませんが、私が選手の視察に行くのは、静岡県内のチームだけです」
県外にスカウティングに行くと…
ADVERTISEMENT
全国の私立強豪校は情報網を張り巡らせて、有望な中学生をスカウティングしている。「あのチームに良い選手がいる」と聞けば、監督やコーチが現地に行く高校も少なくない。他校の方針を否定するのではなく、石岡監督には視察の対象を県内に限定する理由がある。
「私は現場に居たいんです。県外にスカウティングに行くと、現場を空ける時間が長くなってしまいます。毎週のように県外にいる特定の選手のところへ通うよりも、チームで預かっている選手たちと接する時間を重視したいと考えています」
チームをつくる上で、限られた時間をどのように使うのか。石岡監督が最優先するのは現場、つまりグラウンドで選手を指導する時間なのだ。チーム内には県外出身の選手もいるが、常葉大菊川野球部に入部してもらう際、指揮官には大切にしていることが3つあるという。
「1つ目は、選手が練習や環境を見て常葉大菊川で野球をやりたいと思ってくれているか。2つ目は、私自身が一緒にやりたいと思った選手か。3つ目は、私を含めたチームスタッフと一緒に野球をやりたいと思ってくれた選手。この3つが、良い組織をつくる上で重要だと考えています」
3条件を定めた背景に“意欲低下の選手問題”が
3つの条件を定めた背景には、苦い経験がある。監督就任直後、明らかに意欲が低下した選手がチーム内にいた。前任の指揮官から転換した方針もあったため、選手には納得できない部分が少なからずあったという。
「私に対して『この監督の野球をやりたくて入学したわけではない』という思いを持っていた選手もいたはずです。でも、私も譲れない考え方があります。選手は良い顔をしていないなと感じる時があって、苦しかったです」と回想する。
石岡監督は、現場へのこだわりを熱く語り続ける――。〈つづきは下の【関連記事】へ〉

