第102回箱根駅伝(2026)BACK NUMBER

「『キーマン』と呼ばれる存在に」創価大学の2年生エース候補・山口翔輝に期待される“ゲームチェンジャー”への進化 

text by

藤井みさ

藤井みさMisa Fujii

PROFILE

photograph byTadashi Hosoda

posted2025/12/23 10:01

「『キーマン』と呼ばれる存在に」創価大学の2年生エース候補・山口翔輝に期待される“ゲームチェンジャー”への進化<Number Web> photograph by Tadashi Hosoda

11月の全日本大学駅伝で創価大学のアンカーを務めた山口翔輝

 全日本大学駅伝ではたすきを受け取ったのが7位だったため、個人の走りではなくシード権の確保がテーマとなった。その結果、前半にリズムを作りきれず、守りに入ってしまったことに物足りなさを感じた山口は、全日本大学駅伝が終わって数日してから「全力でいく」と決め、世田谷246ハーフマラソンへの出場を榎木監督に直訴。「しっかり解放して走る」ことをテーマにし、スタートから全開で走って、そのままフィニッシュ。終盤の15km地点に「心臓破りの坂」とも言われる急坂があり、その後も細かいアップダウンが続くタフなコースでの61分台は上々の結果だ。

「前半でいいリズムを作りながら走れたので、全体的に底上げされて良いタイムを出すことができたと思います。一度ハマると、なかなかペースが落ちない走りが自分の強みなので、粘りや勝負強さを加えられれば、もっとレベルアップした走りができると思っています」

 前週にも20km近くを走った影響を問うと、山口は「問題なく走れていますし、ここからまた積み上げていく形になると思います」と明言した。エース候補が求められるなかでのタフな活躍。自分がエースになるという気持ちはあるのだろうか。

「全日本大学駅伝で見えたチームの課題は、流れには乗っていたけれど決めきれず、後半からなかなか順位を上げられなかったということ。チームにとっての“決め手”が間違いなく必要なので、ここから箱根駅伝に向けて『キーマン』と呼ばれる存在にならなければいけないと思っています」

成長し続ける2年生エース候補

 山口は11月末の日本体育大学長距離競技会10000mにも出場し、積極的なレースを展開して28分32秒51と自己ベストを更新。榎木監督も山口の姿勢を高く評価する。

「朝の練習からガンガン走って、練習の時点からチームを鼓舞しながらがんばっているなと感じます。彼の気持ちの強さをすごく感じますね」

 山口は前回の箱根駅伝でルーキーながら5区を走って区間10位だった。今回は「5区でリベンジしたいという気持ちもあるし、その他の区間でも十分な勝負ができると思っています」と自信を口にする。

 現状、5区の候補である山口と野沢のふたりに、榎木監督は「勝ち取ったほうが5区」と伝えており、先輩である野沢は「負けていられない」と山口をライバル視しつつ、日々の成長の糧としている。

 山口がゲームチェンジャーとして活躍すれば、来季以降、自信を持って「優勝」を目標とするチームに近づけるだろう。まずは今回の箱根駅伝での快走を期待したい。

関連記事

BACK 1 2

ページトップ