第102回箱根駅伝(2026)BACK NUMBER
「『キーマン』と呼ばれる存在に」創価大学の2年生エース候補・山口翔輝に期待される“ゲームチェンジャー”への進化
posted2025/12/23 10:01
11月の全日本大学駅伝で創価大学のアンカーを務めた山口翔輝
text by

藤井みさMisa Fujii
photograph by
Tadashi Hosoda
昨季、創価大学をエースとして牽引したのは吉田響(現・サンベルクス)だった。出雲駅伝2区では区間賞を獲得し、全日本大学駅伝2区では青山学院大学の鶴川正也(現・GMOアスリーツ)とデッドヒートの末1秒差で区間2位。箱根駅伝2区では東京国際大学のリチャード・エティーリ(当時2年)に次いで区間2位、タイムは1時間5分43秒で従来の区間記録を上回った。
その活躍の一方で、チームが吉田に頼りきっていたことは否めない。前回の箱根駅伝では10区間中5区間がふた桁順位で、総合7位に終わった。
絶対的エースが抜けた今季は「将来のチームが優勝するために、耐え、凌ぐ年」と位置づけ、主力選手たちがエースに育つこと、さらに中間層の底上げをテーマとしてチーム全体を強化してきた。その上で「学生三大駅伝3位以上」を目標に掲げた。
出雲駅伝では主力の6名が揃った。榎木和貴監督が「自信を持って送り出せるメンバー」と口にしたとおり、全員が区間5位以内で走って3位でフィニッシュ。しかし全日本大学駅伝の前日会見で、榎木監督は目標を「5位以上」と下方修正した。その理由に青学大や駒澤大学が出雲駅伝で不完全燃焼で終わったことを挙げつつ、「チームの層の厚さを考えると、同じ3位という目標はハードルが高すぎるんじゃないかと考えました」と話す。あえて目標を下げることで、選手への奮起を促す狙いもあった。
だがレースでは、5区までは榎木監督の狙い通り暫定5位で走っていたものの、6区の榎木凜太朗(2年)が区間10位と落ち込むと、7区の野沢悠真(4年)も悪い流れを取り戻すことができず、実力を発揮しきれたとはいえない区間7位の走り。アンカーの山口翔輝(2年)はシード権を守る走りに切り替え、7位でのフィニッシュとなった。
課題克服へのキーマン
レース後、榎木監督が指摘したのは、シーズン当初から取り組んできた課題が克服できていないということ。層の薄さ、そして流れを変えられるゲームチェンジャーの不在だ。箱根駅伝に向けてそれらの課題を克服しないと、「3位以上」の目標は達成できないという危機感をにじませた。
箱根駅伝を目前にしてゲームチェンジャーとなりうる可能性を見せているのが山口だ。全日本大学駅伝で8区19.7kmを57分53秒の区間6位で走った翌週、世田谷246ハーフマラソンに出場。終始先頭でレースを進め、熾烈なラストスパート勝負を制して61分46秒で優勝した。


