第102回箱根駅伝(2026)BACK NUMBER

花の2区はどちらか? エース候補、楠岡由浩と島田晃希の切磋琢磨で進化する帝京大学が狙う箱根駅伝での“5強崩し” 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byYuki Suenaga

posted2025/12/19 10:00

花の2区はどちらか? エース候補、楠岡由浩と島田晃希の切磋琢磨で進化する帝京大学が狙う箱根駅伝での“5強崩し”<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

2年生で挑んだ前回の箱根駅伝では、5区を区間17位で走った楠岡由浩

 指揮官はこの日の練習に手応えがあった様子だ。中野監督は決まり文句のように常々「うちはみんなはエースです」と口にする。それにはもちろん選手の意欲を促す目的もあるだろう。実際に「『俺がエースなんだ』っていう気持ちをみんなが出してきた」と中野監督は実感している。総合力で戦うのは帝京大のチームカラーだ。だが、今回ばかりは中野監督のその言葉に異を唱えたい。楠岡と島田晃希(4年)は、どう見ても抜きん出た存在だからだ。

 伊豆大島で強風のなか2kmのインターバルを敢行した際、ふたりは1本ごとに他の選手よりも約5秒遅れてスタートしていた。練習の負荷をより高めるためだ。遅れて走り始めたはずのふたりだったが、最後は先頭のほうでフィニッシュしていた。

しのぎを削るふたりのエース

 今季絶好調の楠岡は、高校時代から実績を残してきた選手だ。高校3年時の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)5000mでは決勝に進み9位。その年の国民スポーツ大会(国体)では13分55秒84の好記録で3位に入っている。帝京大には4年間をかけて力を付ける“叩き上げ”の選手が多いなか、楠岡は傑出した実績を提げて入学した。高校生でも5000m13分台は珍しくはない時代になったが、13分台の高校生が帝京大に加わるのは楠岡が初めてだった。

 下級生の頃は度重なるケガでなかなか本領を発揮できずにいたが、今季は5000mと10000mで帝京大記録を更新。10000mは27分52秒09まで記録を伸ばし、これまた帝京大初の27分台ランナーになった。そして、駅伝でも活躍を見せてきた。出雲駅伝では1区3位と好走。全日本大学駅伝では2区で区間タイ記録をマークし、他校のエース格をも破って区間賞に輝いた。12位から2位まで引き上げ、見事に流れを引き寄せた。

 一方の島田は、2月の日本学生ハーフマラソンで1時間00分56秒の帝京大記録を打ち立てている。さらに6月には、オーストラリアで開催されたペッパーズサイロ・ハーフマラソンで、59分台の記録を持つ選手にも競り勝って、1時間1分12秒の大会新記録で優勝。駅伝では重要な場面を任されることが多く、安定した結果を残している。

 楠岡が「箱根駅伝は今回から2区を走らないといけないと思っています」と言えば、島田もまた「自分が走りたい区間は変わらず2区です」とエース区間に意欲を覗かせている。

 花の2区を担うのはどちらか。チーム目標の“5強崩し”を成し遂げるには序盤の出遅れは厳禁だが、このふたりなら十分に上位で乗り切る力がある。

 今回の箱根駅伝は「5強」とされる青山学院大学、駒澤大学、國學院大學、中央大学、早稲田大学による優勝争いが見込まれている。だが、帝京大は復路に強みのあるチームだけに、往路で好位置につければ“5強崩し”はもちろん、それ以上も見えてくる。今回の帝京大は上位争いをかき回す存在になりそうだ。

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