第102回箱根駅伝(2026)BACK NUMBER
花の2区はどちらか? エース候補、楠岡由浩と島田晃希の切磋琢磨で進化する帝京大学が狙う箱根駅伝での“5強崩し”
posted2025/12/19 10:00
2年生で挑んだ前回の箱根駅伝では、5区を区間17位で走った楠岡由浩
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Yuki Suenaga
箱根駅伝を約1か月後に控えた12月上旬、帝京大学は伊豆大島で毎年恒例の選抜合宿を実施していた。選手たちにとっては16人のメンバー入りがかかった文字通りのサバイバルの日々だ。
合宿も終盤に入り、富士山を望む海辺の舗装路で2km×8本のインターバルというハードなメニューが予定されていた日のこと。この日は朝から強風が吹き荒れていた。
「過去イチの風です」
主力の3年生、楠岡由浩が思わずこう漏らすほどの風が選手たちに吹きつけていた。
中野孝行監督の脳裏に浮かんでいたのは13年前の記憶だ。その年の大島もこの日のような激しい風が吹いていた。
「その時は、(海辺を避け)風の影響が小さい山側でトレーニングをしました。でも後で知ったことですが、同じく大島で合宿をしていた日本体育大学は、向かい風だろうと何だろうと予定していた周回コースでメニューをこなしたというんです」
その1か月後の第89回箱根駅伝は強烈な風が選手たちを苦しめる大会となった。帝京大はタフな環境下で走り込んだ甲斐あって、予選会からの出場にもかかわらず過去最高タイの4位と健闘。だが、その上をいく結果を残したのが、同じ大島で合宿をしていた日体大だった。前年19位から驚異の躍進を遂げ、一気に頂点まで駆け上がった。
「日体大は前年が19位だったので、覚悟が決まっていたんですよね」
厳しい練習で得た手応え
そんな経験があったからこそ、この日の練習では思い切った決断をした。予定していたコースの一部を変更したものの、13年前のように風を避けるのではなく、あえて数本は強い風が吹く海辺のコースで敢行した。
選手たちが北に向かって走れば、冷たい向かい風が行く手を阻む。また、追い風だろうと横風だろうと、強風のなか真っ直ぐに走るのは決して簡単なことではない。おまけにコースは起伏に富んでおり、選手たちには相当な負荷がかかったはずだ。脚に不安を抱えていた選手がひとりだけ途中離脱したものの、ほぼ全員が最後まで離れることなく乗り切った。
「風が強かったことにも、コースを急遽変えたことにも、彼らは動じませんでした。向かい風だけでなく、斜め後ろから吹く風のなかを走るのも意外と難しかったようです。風から逃げなかったというのは大きいかな」


