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吉村紗也香「つらい時期も乗り越えてきた」北海道銀行と契約終了、5度目の五輪挑戦…カーリング女子日本代表・フォルティウスはなぜ“大一番で勝てた”のか?
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/12/12 17:01
カーリングのミラノ五輪世界最終予選を見事に勝ち抜いたフォルティウスのスキップ・吉村紗也香
それでも選手たちは、貯金を取り崩す、スポンサー探しに奔走する、クラウドファンディングの実施、家族に理解を求めるなど努力して基盤を整え、チームを存続させてきた。あきらめなかった。その精神力こそ着目に値する。
日本代表決定戦で敗れたSC軽井沢クラブの上野美優の言葉が思い起こされる。
「最後の1投は、フォルティウスのこれまでの経験や思いが上回ったものだったと感じました」
吉村「つらい時期も乗り越えてきました」
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フォルティウスの原点は、2003年に小笠原歩、船山弓枝が結成したチーム名に「フォルティウス」とつけたところにある。大会にはチームのコーチである船山、ナショナルコーチとして帯同した小笠原の姿もあった。ともにオリンピックに3度出場している2人の表情を見ると、2人の思いもチームの歴史に根付いているようだった。
ついに五輪出場の目標をかなえた吉村は言う。
「この4年間、つらい時期も乗り越えてきました。やっとオリンピックの場に立てるので、目標の金メダルに向けて、一段と強くなった姿を見せたいです」
近江谷はこう語る。
「目指していたものが目の前になると、感無量です。16年ぶりのオリンピックには、フレッシュな気持ちで挑みたいです」
小谷はこのように語った。
「スタートラインに立てたのでほっとしています」
オリンピック出場という目標はかなえたが、ここがゴールではない。以前、船山はこう話していた。
「このチームで、オリンピックで金メダルをと思っています。それができるチームだと思っています」
スタート地点に立った今、喜びとともに大舞台を見据える。

