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“じつは簡単じゃない”W杯組み合わせの論点「グループ1位もあれば4位もある」「環境適応はチュニジアが有利」それでもF組1位を確保したい“切実な理由”
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戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFP/JIJI PRESS
posted2025/12/10 17:17
北中米W杯の組み合わせ抽選会に出席した森保一監督。「非常に厳しいグループ」と見解を述べた
ちなみにチュニジアは、第1戦が20時で、第2戦が22時だ。コンディションでは彼らにアドバンテージがある。第3戦はカンザスシティへ移動するチュニジアも、日本との第2戦に必勝態勢で臨んでくるのは間違いない。
厳しい組でも「グループ1位を確保したい」切実な理由
ノックアウトステージには、グループ3位の上位8チームも進出できる。ラウンド32以降の戦いを考えると、「何位で勝ち抜くのか」も気になるところだ。1位ならノックアウトステージ初戦の相手はグループCの2位で、モロッコかスコットランドだろう。2位ならグループCの1位で、高確率でブラジルが待ち受けている。
3位はグループA、B、D、E、Iの1位との対戦だ。それぞれのグループのポット1はメキシコ、カナダ、アメリカ、ドイツ、フランスで、開催国もしくは優勝候補と対戦する可能性が高い。カナダのグループにはプレーオフを勝ち抜いて、イタリアが入ってくるかもしれない。アメリカのグループには、10月に2対2で引き分けたパラグアイがいる。
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第2戦までに勝ち点4を獲得していれば、第3戦に敗れてもノックアウトステージ進出は可能だ。とはいえ、ラウンド16を突破してベスト8以上まで勝ち上がることを想定すると、やはりグループ1位を確保したい。そのためには、UEFAプレーオフ勝者と対戦する第3戦も、勝利を目指すべきである。
この試合は再びダラスへ移動し、中4日で迎える。ノックアウトステージを勝ち上がっていくためには、グループステージ3試合で疲労を分散させることが必須だ。スタメンを入れ替える、交代選手のプレータイムを長くするといった対応をしながら、チーム力を落とさない選手層が必要なのである。森保監督が2連戦のテストマッチでスタメンを入れ替えてきたのも、ワールドカップを勝ち抜くためのトライアルだった。
同レベルのチームとの対戦では、ピッチに立つまえの準備で違いを生み出すことができる。ベースキャンプ地をどこに置くのか。どのタイミングでどのような移動手段で、試合が行なわれる都市へ入るのか。
大会5試合目のラウンド16で、同6試合目のベスト8で、チームのレベルを落とすことなく戦えるか。高いインテンシティに耐えうるコンディションをチーム全員が維持し、疲労を分散しながら戦っていけるか。
過去最大規模にして史上初の3カ国共催となる今回のワールドカップでは、様々な意味での「調整力」が問われる。

