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今成正和、石井館長と異色のタッグ!
「足関十段」が39歳で見せる新境地。
posted2015/05/24 11:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
5月某日、東京・赤坂のフィットネスジム「NEXT」で二人の男が練習を行なった。一人はDEEPで二階級制覇を達成した総合格闘家・今成正和。もう一人はK-1創始者の石井和義館長である。少し前に共通の友人を介して知り合い、石井がアドバイスをするようになったのだという。
“足関十段”の異名通り、今成はヒールホールドなど足関節技を得意とする選手だ。遠い間合いから蹴りで牽制し、一気に相手の足元に飛び込んで関節を破壊する。“極め”の醍醐味を体現するようなファイトスタイルで人気を博す今成だが、個性が際立っているだけに攻略法も研究されてきた。
「相手は寝技に持ち込まれるのを警戒しながら、軽いローキックやパンチでポイントを稼いでくる。パッキャオvs.メイウェザーみたいなもので、これでは試合が面白くならないんですよ。プロモーターの立場からすると“そういう選手は使いたくないな”となってしまう」(石井)
「足関十段」に石井館長が送ったアドバイスとは?
相手を寝技に引き込むも、パウンドを浴びて関節技が不発に終わる場面も増えてきた。昨年の戦績は1勝3敗。「研究されてるというか、こうしておけば大丈夫っていうやり方が練られているなと思いますね」と今成。「何か変えていかないと」と感じていたところで出会ったのが“常勝軍団”正道会館の選手たちを育てた石井だった。
石井は今成に「もっと前に出て、相手との距離を潰したほうがいい」というアドバイスを送った。そのための方法論が“捌き”。相手の打撃が当たる寸前で見切り、崩していく空手の技術だ。石井は言う。
「打撃をもらうまいと遠い間合いにいると、逆に相手は打撃を打ちやすいんですよ。そうじゃなく、自分の距離で寝技に持ち込んで関節を極めればいい」