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「尚弥さんから“ジャブがいいね”って」井上尚弥とスパーした怪物高校生…“17歳”藤木勇我とは何者?「“中量級の壁”を破る日本人がいるとしたら藤木」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byNaoki Fukuda

posted2025/12/05 11:04

「尚弥さんから“ジャブがいいね”って」井上尚弥とスパーした怪物高校生…“17歳”藤木勇我とは何者?「“中量級の壁”を破る日本人がいるとしたら藤木」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

アマボクシングでセンセーショナルな成績を残す17歳藤木勇我(興国高3年)

 アマチュアではセンセーショナルな存在になった藤木だが、2028年のロス五輪で金メダルを狙うより、早くプロで力を試したいのだという。一部からは同年齢だった頃の井上尚弥と比べても上なのではないかと絶賛されるスーパープロスペクト。藤木に関して特別なのは、中量級以上の階級で大成が期待できそうなことだ。

 身長170cmの藤木は最近のアマチュア大会ではライトウェルター級、ウェルター級で戦った。プロではまず「フェザー級から始めたい」と話すが、年齢を重ね、身体ができるにつれて階級を上げていくことが予想される。最終的にはライト級からウェルター級あたりまで手が届きそうで、それらの階級から世界レベルの選手が生まれることの意味は日本ボクシングにとって計り知れない。

日本人が苦戦してきた“中量級の壁”

 近年、活況を呈する日本リングだが、中量級以上はまだ人材豊富とはいえない。フェザー級以上の世界王者はゼロ。今年6月19日、WBO世界ウェルター級王者ブライアン・ノーマンJr.に挑んだ佐々木尽は5回KOで惨敗した。2000年代に入って以降、世界ライト級王者になった畑山隆則、WBA世界ミドル級を制した村田諒太のような“例外”も現れたが、それぞれ世界タイトルホルダーとしては短命に終わった。そんな中、藤木は新時代を背負う選手になれるのだろうか。

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 これまで荒川仁人(元東洋太平洋、日本ライト級王者)、淵上誠(元東洋太平洋・日本ミドル級王者)、佐々木らを世界戦線に送り出してきた八王子中屋ジムの中屋一生会長は、藤木は見ているところが違うと断言する。

「中量級の壁を破る日本人がいるとしたら彼なのかな、と。中量級の壁には2段階があると思っています。まずは世界に通用するところまでいく、何とか世界王座に辿り着くというのが1つ目の壁。これまでの日本の選手たちはそこを目標にしてきました。ただ、藤木くんの場合はその一つ上の段階が目指せる素材だと思っています。簡単にいえば、井上尚弥選手が軽量級でやっていることを中量級以上でもできるんじゃないかと。単に中量級で世界王者になるだけではなく、世界のトップクラスに躍り出ることができるような選手が日本から出てきたと感じています」

【次ページ】 もうすぐ18歳「海外の知名度も上昇中」

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