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井上拓真の“エグいアッパー”が那須川天心の顔面に突き刺さり…カメラマンがとらえた決定的瞬間「引き出しの差、技術力の違い」“天心寄り”でも認めた完敗
posted2025/12/09 06:00
井上拓真が那須川天心に初黒星をつけたWBA世界バンタム級王座決定戦。“天心番”カメラマンの目に、この一戦はどう映ったのか
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Susumu Nagao
「ボクシングをなめるな」肌で感じた会場の熱気
キックボクサー時代から那須川天心を追いかけてきたカメラマンとして、“天心寄り”の心境で撮影に臨んだ長尾氏。だが「会場の雰囲気は拓真選手を後押ししていた」と率直に振り返る。試合前に井上拓真の兄・井上尚弥がファンを煽って大歓声が起きたとき、「ああ、天心にとってはアウェイだな」と感じたという。
試合は、最初の2ラウンドこそ天心優勢かと思われたが、3ラウンド以降は一転して拓真ペースに。「キック時代も含めて、あんなにやりづらそうにしている天心選手は初めて見た」と長尾氏は振り返る。押し合いで拓真がスリップした場面では、天心へのヤジやブーイングもはっきりと聞こえた。
「『ボクシングをなめるな』『好きなようにはさせないよ』という人たちの熱気――撮影しながら、それをひしひしと感じました」
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天心はカウンター主体のファイターだが、拓真陣営は「那須川天心を徹底的に研究していた」と長尾氏の目には映った。いわく「長い距離で好きにやらせることはせず、天心選手がやりにくい位置に身を置いて、カウンターを狙われるような打ち方もしない」。終盤には拓真のアッパーが繰り返し顔面に突き刺さるシーンも生まれた。「引き出しの差、経験の差、ボクシングの技術力の違い。天心選手の完敗だった」と長尾氏は総括する。
それでも長尾氏は“那須川天心のこれから”に期待を寄せる。
「無敗という肩書きに縛られることもなくなった。天心選手は賢いし、努力を怠らない人間。今回の負けは、彼がさらに強くなるために必要なものだったんじゃないか、というのが私の考えです」
記事本編では試合前後の両者の様子も含めたさらに詳細な分析や、格闘技カメラマンとしての「ボクシングへの畏敬の念」も語られている。
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この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
