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核心にシュートを!BACK NUMBER
「自由に動けるのは2トップかなと」日本代表FW上田綺世の得点力を最大化するのは…じつは“シャドー町野修斗”の特異性「9.5番」なのでは
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAsami Enomoto
posted2025/11/24 19:20
ボリビア戦、シャドーでゴールを奪った町野修斗。1トップの上田綺世の得点力を生かせる可能性も秘めているか
「僕だったらあそこまで入り込めてないので。ああいったところは、やはりストライカーの動きでした。『シャドーの選手でもあそこまで入っていかなきゃいけないんだ』と勉強になりました」
最近の久保はトーマス・ミュラーの映像を見ていることを、たびたび明かしている。ミュラーは南アフリカW杯で20歳にして得点王になるなど、若い頃からゴールに多く絡んできた。久しぶりにヨーロッパカップ戦がなく、個人トレーニングに励む時間があるからこそ、久保は進化のために試行錯誤を続けている。そんな時期だからこそ、町野の動きの質を見て、久保は大いに刺激を受けたのかもしれない。
ただし……。
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町野の存在は久保以外にも影響を及ぼす可能性を秘めている。エース上田綺世の得点力を増す一助となりそうなのだ。
町野は上田の得点力を最大限に活かせるのでは
端的に言うと、上田の得点力を最大限に活かすためには、町野のようなストライカーとしての仕事ができる選手が必要だからだ。
フェイエノールトのエースとして得点王争いを独走する上田だが、ライバルPSVとの大一番で敗れた試合では“得点力不足”が話題となった。ただ、大きな批判を受けたのは上田ではなく、ロビン・ファンペルシ監督だった。この試合では『4-1-2-3』気味の布陣へ変更し、ある選手を外した。その選択に批判の矛先が向かったトップ下が本職のスタインという選手を外し、インサイドハーフタイプの選手を2人配することで、運動量と機動力のある相手に対抗しようとした。その選択に批判の矛先が向いたのだ。
批判の声を挙げた代表格が、解説者のア・デ・モスである。アヤックスを率いて3度のリーグ優勝を誇るオランダ人で、浦和レッズを率いた経験もある彼は、こんな批判を展開した。
「スタインを起用しなかったのはファンペルシのミスだ。上田のゴールの80%はスタインのおかげなのに。スタインがプレーすれば、彼ら2人で中央エリアをカバーしあえるのだから」
さすがに「80%」の割合は大げさだろうが――指摘には妥当性がある。実際、9月時点で、上田はスタインとの関係性が良い理由の一つとして「彼とは2トップ気味の関係でいられるから」と明かしていた。
上田の“2トップ論”と町野の「9.5番」
ではなぜ、2トップのような関係があるとFWとしてプレーしやすいのか。先月、そんな質問をぶつけると、上田は丁寧に答えてくれた。
「2トップになると、1トップでやっていた仕事を分担できるんです。ボールサイドに顔を出して、ポストプレーした後、味方がサイドチェンジをしたとき、逆サイドでも同じことをやれるかと言ったら、まぁ……難しいんですよ。それでも、1トップだったらそういうタイミングを逃さないようにポジションを取らないといけないし、色々考えながら動かないといけない。


