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[勝利への近道]黒田剛「悲劇的な感情を力に」
posted2025/11/22 09:00
text by

藤島大Dai Fujishima
photograph by
Miki Fukano
レンズの横のボディーに小さく「Z」。機種を示すロゴだろう。目立つ位置ではない。なのに、その人は、フォトグラファーがカメラを向けるや言った。「そのZ、ゼルビアですか」。監督だ。いや勝つ監督。常なる観察が洞察へと結ばれる。
黒田剛。FC町田ゼルビアを率いて、この取材時はJ1の6位、首位の可能性は消えるも上位を譲らない。青森山田高校では全国選手権制覇3度。町田の監督就任時の公式ページ略歴には各大会での「優勝」と「準優勝」が計15度も登場した。
執拗なプレスと対人防御、ためらいなき縦へのフィード、議論を呼んだロングスロー。焦点を絞り切り、相手の長所を最小化する。ぶっちぎりでJ2を制し、J1昇格の昨年度はいきなり3位。「高校の監督に何が」の懐疑は失せた。町田のクラブハウス。サッカーならぬ「勝負」という競技の指導者にインタビューした。
――高校生とプロ。人間は人間ですか。
「30年、高校サッカーをやってきて、80人くらいのJリーガーが輩出しましたが、彼らを通してもプロの世界は見えなかった。自分が入ってみて刺激的なところもあったし、ああ、やっぱり、と思うところもある。高校は教育。プロは人生。アプローチを変える必要はある。ただ、タイトルを獲ることで将来が好転していくのは同じです」
――高校とプロのチーム構築は重なる?
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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