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フワちゃん「プロレスは禊ではない」発言の真意…なぜ“再デビュー”するのか? スターダム社長が明かした舞台裏「誰よりも早く来てロープを張ってます」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2025/11/17 17:02

フワちゃん「プロレスは禊ではない」発言の真意…なぜ“再デビュー”するのか? スターダム社長が明かした舞台裏「誰よりも早く来てロープを張ってます」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

プロレス再デビューが発表されたフワちゃん

 プロレスはスポーツでありエンターテインメント。技を受けて派手に飛ばされる(飛ぶように受ける)ことで攻防の迫力が増すし、自分から飛ぶことでダメージを軽減するという意味もある。相手の打撃を正面から受け止めてこらえるより、自分から後ろに飛ぶほうが衝撃が少ないのだ。「うまい選手ほど派手に受ける」という言葉も聞いたことがある。

 フワちゃんも“派手にやられた”イコール受身ができていないということにはならない。ある男子選手は筆者にこんな話をしてくれた。

「コーナー上とか高いところから投げられてよく怪我しないですねと言われるんですが、高いところから投げられるのはマットまで距離があるということ。着地までの時間がコンマ何秒か長いんです。その分だけ受身の準備ができるから、僕は苦じゃないですね」

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 プロレス2戦目、フワちゃんは林下詩美(現マリーゴールド)のジャーマンスープレックスでフォール負けを喫した。“素人”に危険なことをやるなという批判もあったが、プロレスラーは相手にわざと怪我をさせるようなことはしない。林下は練習ぶりや試合で当たった感触からフワちゃんの能力を確かめ、その上で「受け切れる」と判断したからこそジャーマンを使ったのだ。

“新人レスラー・フワちゃん”として

 一般メディアも含めた興味本位な人間たちの誤解や偏見を払拭するには、とにかく試合を重ねるしかない。今すぐチャンピオンになれるとまでは言わないが、葉月が絶賛したように身体能力やセンスは疑いようがない。

 勝ったり負けたり、技を失敗して落ち込んだり、新人同士の出世争いでライバルにジェラシーを抱いたり。すべてが“プロレスラー・フワちゃん”の経験であり糧になる。

「経歴からして、普通の新人ではないですよね。セキュリティの面など“特別扱い”しなくてはいけない場面も出てくるでしょう。ただ試合会場にいる限りは“一新人”です。これからは(新人の仕事の一つである)リングの設営、撤収もしてもらうことになります」(岡田)

 いずれ地方大会へ巡業バスで移動することもあるかもしれないし、むしろそうしてほしいとも思う。ファンは勝ち負け以上に“プロレスに取り組む姿勢”を見ている。

 禊ではなくプロレスラーとして一人前になるために、そしてフワちゃんが“大型新人”であることが間違いないからこそ、層の厚いスターダムで揉まれることが重要なのだ。

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