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8年ぶり侍ジャパン復帰のオリックス・若月健矢「呼ばれないだろうなと思っていた」“山本由伸の女房役”が世界へ…飛躍を支える“捕る力”とWBCへの道 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNanae Suzuki

posted2025/11/17 11:00

8年ぶり侍ジャパン復帰のオリックス・若月健矢「呼ばれないだろうなと思っていた」“山本由伸の女房役”が世界へ…飛躍を支える“捕る力”とWBCへの道<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

侍ジャパン韓国戦に出場した若月

 もともとパワーは十分で、フリー打撃ではガンガンスタンドに放り込む。5月20日のロッテ戦では、京セラドーム大阪の5階席に届くサヨナラ本塁打を放ち、こう語っていた。

「僕からしても(相手の)下位打線に当たれば飛ぶようなバッターがいると嫌です。ランナーがいない時に一発が出るのは嫌だし、得点圏にランナーを置いていやらしいバッティングをされるのも嫌。僕が目指しているのはそういう、よくわからないいやらしさがあるバッターです」

 15日の韓国戦でも、8回裏・無死満塁の場面で逆方向にタイムリー安打を放ち、いやらしさと勝負強さをアピールした。

「何の心配もなく投げられる」投手からの厚い信頼

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 一方、守備面は総合力が高く、投手に安心感を与えられる捕手だ。

 強肩は入団時からセールスポイントだったが、プロで経験を重ねるごとに磨かれたのがブロッキング。イレギュラーなショートバウンドにも、低い体勢から素早く反応し、確実に前で止める。

 今季途中からリリーフとして欠かせない存在となった岩嵜翔や才木海翔が持ち味を発揮できた一因に、若月の存在があった。2人の武器は剛速球と落差の大きいフォーク。そのフォークをためらうことなく腕を振って投げきれたのは、若月という壁がいたからだ。

 才木はこう語っていた。

「僕は三振を取りにいく時に狙ってワンバン(ワンバウンド)を投げているんですけど、勇気を持ってというより、全然普通にワンバン投げられます。健矢さんからは、『フォークはワンバン投げてこい』というふうに言われていますし。ブロッキングだけでなく、健矢さんはランナーが走っても刺してくれるので、僕はもう『ヨシ!』って投げるだけ。何の心配もなく投げています」

ブロッキングは「プロ野球でトップクラス」

 自身も現役時代はブロッキングに長けていた山崎勝己バッテリーコーチも、若月のブロッキングについて、「かなりうまいですよ。プロ野球の中でトップクラスだと思います」と太鼓判を押す。

「止めるだけで終わるキャッチャーもいますが、もっといろいろと深く突き詰めて、跳ねないようにするだとか、より小さい動きでやるだとか、そういうことを貪欲にやってきた結果じゃないですかね。

 ワンバンを取るのってちょっと予測も必要なんです。このピッチャーはこの球種は引っ掛けやすいとか、この人のフォークはこっち側に来やすいとか。そこは試合に出ていないとできないこと。試合を重ねるごとに経験値が増えて、『こっちに来そうだな』と予測することで、少し体重の掛け方が変わったり。そういうのもあるんじゃないですかね」

 自身の経験から、「ワンバン(の捕球)はやったらやっただけ上手くなる」と山崎コーチは言う。

努力で磨き上げた若月の“捕る力”

「例えばスローイングは、センスというか、肩の強さや柔らかさといったもともと持っているポテンシャルがどうしても影響するので、なかなか上達しにくいところがあるんですけど、ワンバンはやればやるほど上手くなるので、僕自身もやり込んだ時期がありました。

 やっぱり、ワンバンを止められないと、よぎっちゃうじゃないですか。『ワイルドピッチしたらどうしよう』とか『この球種、嫌だな』とか。それはどのキャッチャーでもあることなんですけど、それを小さくしないといけない。

 それにピッチャーが、『この人あんまり上手くないな』と思って、(ワンバンになりそうな球種を)投げてこなくなったら、こっちも商売あがったりじゃないですか(苦笑)。だからそこは、『ワンバン(捕るの)上手いな』と思われているほうが絶対いいと思いますよ」

【次ページ】 由伸快挙の瞬間にも実は…

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