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ヒグマとの死闘「腸をグッと掴んで思いきり引っ張った」「血だらけでぐちゃぐちゃ」元ラガーマン“ベテラン猟師の教訓”「不幸中の幸いだったのは…」

posted2025/11/14 11:02

 
ヒグマとの死闘「腸をグッと掴んで思いきり引っ張った」「血だらけでぐちゃぐちゃ」元ラガーマン“ベテラン猟師の教訓”「不幸中の幸いだったのは…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

駆除の最中、手負いのヒグマに襲われた山田文夫さん。噛みつかれた口や手には後遺症が残った(写真はイメージ)

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風来堂

風来堂Furaido

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JIJI PRESS

2025年、日本ではクマによる深刻な被害が急増し、関係省庁が対策に乗り出している。一方で、“熊害の実態”は意外なほどに知られていない。書籍『ドキュメント クマから逃げのびた人々』(三才ブックス)より、2022年に北海道滝上町滝西で発生した事例を抜粋して紹介する。ヒグマに襲われ、一時は死を覚悟した元ラガーマンのベテラン猟師・山田文夫さん(当時69歳)。後遺症が残るなか、実感を込めて教訓を語った。(全3回の3回目/#1#2へ)

銃創から飛び出たヒグマの腸を引っ張って…

 やむなく再び一人でクマと闘っているうちに、偶然にも繰り出した右拳が口の中に入った。さすがにひるんだのか、鼻先にあったクマの顔が離れ、一気に視界が広がった。クマの顔の他に腹や脚までが見えた。

「最初に一発、弾が当たった横腹から、腸が飛び出ているのが目に入ったんだよね。思わず左手をのばしたらうまいこと届いて、その腸をグッと掴んで思いっきり引っ張ったらベロベローッと出てきてね。

 そこで初めてクマはあきらめて、腸を引きずりながら離れていった。手も腕も嚙まれていたけど、興奮状態だったから痛みは分からなかったね」

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 弾を取って崖の上に戻ってきていたSさんが、慌てて下りてきた。そのとき、「山田さん、手に何持っているのさ?」って言うので目をやると、クマの腸を50cmくらい左手に握りしめていた。とにかく血だらけだったが、起き上がってライフルだけは自分で探して右手で持って、左手で腸を持って上へあがって行った。下半身はやられていなかったから、歩くことはできた。

 知らぬ間に、猟師仲間が何人も集まっていた。

「『大丈夫かっ!?』という声に『大丈夫じゃない、やられた!』ってしゃべったことは覚えているんだけど、あとは記憶ないね。腸はその場で投げた(捨てた)よ(笑)」

 クマの口に入った右手には今も歯痕が残っており、親指は神経が損傷してしまい曲がらなくなっている。

 クマとの格闘は5分以上続いたとみられるが、69歳とはいえ、やはり元ラガーマンだった山田さんだったからこそ、これだけの死闘を繰り広げることができたのだろうか。恐怖心はなかったのだろうか。

【次ページ】 「血だらけでぐちゃぐちゃ」約70針を縫う大けが

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#ヒグマ

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