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「一発で仕留めないとおふくろが襲われるかも」元ラガーマン猟師が語る“初めてヒグマを撃った日”…「クマっていうのは本当に賢くてね」命がけの報酬
posted2025/11/14 11:00
日本では北海道のみに生息するヒグマ。本州・四国に生息するツキノワグマよりも大型で、発達した筋肉を持つ
text by

風来堂Furaido
photograph by
JIJI PRESS
「一発で仕留めないとおふくろが襲われるかも」
山田さんがヒグマに襲われたのは、2022(令和4)年7月。ヒグマを初めて撃ったのが40代前半だったので、それから20数年が経っていた。遡って、初めてヒグマを撃ったときから振り返ってみる。
牧場内のはずれにあった畑で、母親が作業をしている50~ 60 m先にヒグマが現れた。体重70~80kgくらいの大きくはない個体だった。「一発で仕留めないとおふくろが襲われるかも」と、ものすごい緊張で脂汗が出た。幸い一発で、ヒグマはバタリと倒れた。
以来、約100頭のヒグマを駆除してきたが、その半分近くは箱罠による捕獲と駆除だ。罠猟免許も取得した山田さんは、箱罠の名人でもあった。
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「箱罠は置けばいいってもんじゃない。クマっていうのは本当に賢くてね。知恵くらべさ。シカ肉で仕掛けても食いつかなくてね。ハチミツで試してみたけれど、ハチに食べられたり、雨で流れたりして何回も補給しなくちゃいけないの。
それで紋別の魚屋まで行って、投げる(捨てる)ようなシャケのアラをもらってきて仕掛けてみたら、一週間も経たずに300kgのクマがかかったね」
以来、もっぱらシャケのアラを使うようになり、面白いようにクマが獲れたという。箱罠は、なるべく鉄の部分が見えないように草を敷き詰めたり、茎がしっかりした草を入口に立てかけてカモフラージュするなど、細かな工夫も欠かさなかった。
“命がけの活動”の報奨金は…
山田さんが有害鳥獣駆除の活動を本格的に取り組むようになったのは、家業を息子に引き継ぐことが決まった頃から。62~63歳まではいっしょに酪農をやっていたが、息子が一人立ちしてくれたのを機に、銃を持って歩く時間が増えた。

