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「撃ってくれ!」「弾ないんだわ!」ヒグマに襲われた69歳ベテラン猟師の“誤算”「入れ歯は割れて、口は裂けた」「眼球をえぐられなくて良かった」

posted2025/11/14 11:01

 
「撃ってくれ!」「弾ないんだわ!」ヒグマに襲われた69歳ベテラン猟師の“誤算”「入れ歯は割れて、口は裂けた」「眼球をえぐられなくて良かった」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

二頭のヒグマを駆除するために出動した猟師の山田文夫さんとSさん。二人の“誤算”とは何だったのか(写真はイメージ)

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風来堂

風来堂Furaido

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JIJI PRESS

2025年、日本ではクマによる深刻な被害が急増し、関係省庁が対策に乗り出している。一方で、“熊害の実態”は意外なほどに知られていない。書籍『ドキュメント クマから逃げのびた人々』(三才ブックス)より、2022年に北海道滝上町滝西で発生した事例を抜粋して紹介する。駆除の最中、手負いのヒグマに襲われた山田文夫さん(当時69歳)。経験豊富なベテラン猟師の山田さんが語る、“二つの誤算”とは。(全3回の2回目/#1#3へ)

毎日のように二頭のヒグマが…

 二頭のヒグマが居座っていた現場は、山田さん宅から2kmほど離れた場所の開けた牧草地。その現場へ向かう途中、渚滑(しょこつ)川から分かれる“熊出沢川”という名の川を渡る。その名の通り、この川沿いは昔からクマの通り道だったという。サラサラと流れる沢沿いに、芽吹いたばかりのフキノトウが連なっていた。北海道の原風景が異様に美しい。

 左手に滝西神社、右手に廃校になった滝西小学校を過ぎると、その道は一気に開ける。左手はまだ何も育っていないデントコーン畑で、道を挟んで右手が現場となった、真っ平の牧草地が広がる。その土地は細長い半楕円の形で、曲線の淵は落ちて崖になっており、崖下は深いササ藪と林だった。

 その牧草地に、6月半ばごろから毎日のように二頭のヒグマが出没していた。そこへと降りていく短い坂から、50~60m先の車返しのスペースに二台のトラックを停め、ここで30代の猟師Sさんと合流した。

「なんだよオイ。動いてるわ!」猟師たちの“誤算”

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 山田さんとSさんの二人は銃を持ち、現場に向かう。道路上では発砲できないため、高くなった道から下のくぼ地へと降り、身をかがめクマに気づかれないよう身を隠した。そこから草を食べている二頭を狙う。距離は約60m。地形は知り尽くしていた。

 山田さんは牧草地の内側にいる一頭を、Sさんは牧草地の淵にいる一頭に向かって同時に発砲。しかしSさんの弾は外れ、驚いたクマは崖下へと逃げていった。山田さんの弾は狙ったクマの横腹に当たった。クマは一度倒れたが起き上がり、牧草地の淵まで歩いていった。そして、淵ぎりぎりの場所に座り込んだ。

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#ヒグマ

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