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「僕の目指しているところはそこじゃない」ポストシーズンはメンバー外…パドレス・松井裕樹“日本メディアが伝えない”メジャー2年目の献身と葛藤
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山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2025/11/12 17:10
来季はパドレスリリーフ陣の勝ちパターン定着を目指す
ビハインドで回またぎもこなす献身
61試合で63回1/3を投げ、防御率3.98の成績。2年連続でシーズンを完走した。負傷者リスト(IL)には入らずとも、常に体調が万全だったわけではない。痛みや張りに耐えながら、離脱せずにブルペンで貢献した。タフなメジャーのシーズンで評価に値する数字だ。守護神だった日本時代にほとんどなかった回またぎや2イニング投球など新たな役割もこなした。その多くが、ビハインドの展開だった。
「ケガなくやるのは難しいとは思うんですけど、僕の目指しているところはそこじゃない。1年間やったら70試合ぐらい。うちの勝ちパターンを見たら分かる」
パドレスのブルペン事情
守護神のロベルト・スアレスはナ・リーグセーブ王の40セーブ(70試合、防御率2.97)を挙げた。松井と同じ左腕のエイドリアン・モレホンは75試合で13勝(防御率2.08)を稼ぎ出し、ジェレマイア・エストラーダはチーム最多の77試合(防御率3.45)に登板。ジェーソン・アダムは左脚の負傷で9月頭に離脱したが65試合(防御率1.93)に投げ、メーソン・ミラーは7月のトレードでパドレスに加入して以降、22試合で防御率0.77と“無双”状態だった。松井はこの、メジャー最強のリリーフ陣と多くの時間を過ごし、学んできた。
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「その中に割って入るのはとても難しいですけど、そこにトライできるのは本当にやりがいがあると思う。なんとかいい形で来シーズンをスタートしたいです」
「本当にいい時間でした」
今シーズンの松井の役割は、主にチームが負けている状況の登板だった。もちろん、どんな登板機会もチームに貢献できることには変わりない。だが、松井はこのポジションを今後も甘んじて受け入れるつもりはない。勝利パターンのリリーフで一角を担う。それが目標だ。
「ああいう数字。本当に世界一のブルペン陣だと思う。みんなの近くでやれたのはすごいいい経験になりましたし、どういう抑え方をしているのかをたくさん見ることができた。本当にいい時間でした」

