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「丸2日、寝てない」岡田彰布を襲った“異変”…最後のCSで敗れ「じつは極秘入院していた」阪神監督退任の真相「なんやろな、急に力が抜けてしまったわ」
text by

内匠宏幸Hiroyuki Takumi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/11/08 17:00
阪神に38年ぶりの日本一をもたらした翌年、監督を退任した岡田彰布
「急に力が抜けてしまったわ」退任後の極秘入院
結果については誰もが知るところだろう。完敗で2024年シーズンは終わりを迎えた。ファンに挨拶することもなく、岡田は甲子園をあとにした。それ以降、しばらく岡田の情報はスポーツ新聞に掲載されることはなかった。
極秘入院。これが真相だった。大阪市内の総合病院で検査入院を勧められ、岡田はそれに従った。現役時代、度重なる足の故障で病院の世話になってきたが、故障やケガ以外で入院するのは初めてのことだった。
風邪を引いたことが原因だったが、やはり「ストレス」も影響していた。張り詰めていた心が、パンッと弾けていた。実は9月の終わりに重大な決定がなされていた。この時、岡田は本社、球団のトップと極秘で話し合いを行っている。この時点で岡田は「監督3年目」に向けて、心を整えていたと、周囲から聞いた。
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だが話し合いはすぐに終わった。本社、球団の結論は「2年間、本当にご苦労様でした」というものだった。そもそも就任時の契約期間は2年。任期満了は想定通りであり、岡田は自らの思いを告げることなく、受け入れるしかなかった。
「なんやろな……、なんか急に力が抜けてしまったわ」。呆気ない幕引きで、さらに体は変調をきたした。
10日間ほどの入院中、リハビリ用具を使って体力の回復に努めるとともに、医師からの「この際、タバコをやめてみれば」で禁煙を決めた。ヘビースモーカーに近い愛煙家がスパッと止めた。1日、2日、3日が過ぎ、タバコを吸いたい衝動がなくなった。先にも書いたが、禁煙のおかげで食事がうまく感じるようになった。
退院後、軽く食事でも、と行った先で、目の前でタバコを吸われても「何とも思わんよ。気にせんでええから、アンタは吸ってよ」。意思の強さはやはり、なかなかのものだった。
岡田彰布にとって怒濤の2年だった。はじまりは2022年の春――。ここから物語はスタートした。
<続く>

