「考え方ってひとつじゃない」ドラフト7位でプロ入り→10年目で最多安打のタイトル…ある遅咲き選手の“気づき”とは？ 本人が明かす「下剋上のワケ」 

　チームからそう告げられているように村林を触発したのが、明治大からドラフト1位で入団した宗山塁の存在である。「大学ナンバーワン野手」と評価された逸材の加入によって、村林の居場所は安泰ではなくなった。

「誰がどうこうっていうより、自分がレベルアップすることだけを考えているんで」

　春季キャンプから宗山とのライバル関係について何度も聞かれる。そのたびに彼は、このような趣旨のコメントを残していた。

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　だからといって辟易しているようなそぶりは見せないし、表情にも出ない。なぜなら、周囲を煙に巻いているようで本心だからだ。

今季、明治大から楽天にドラフト1位で入団した宗山　©Hideki Sugiyama

村林の中にある「ブレない気持ち」の中身は？

　うまくなりたい――それは、村林がプロになってから首尾一貫している信念だ。

　宗山が入ったことで、ショートのレギュラーを脅かされるかもしれないという危機感。自分が勝ち取った居場所を易々と受け渡してなるものかといった反骨心。淡々と振舞っているようであっても、そういった感情は村林にだってある。ただ、彼はいつだって本質を見誤らないだけなのだ。

「そういう感情もありましたけど、野球がうまくなって試合に出るっていう気持ちは常にあって。そこはブラさずにあるので」

　より野球がうまくなるために村林が今シーズン、精力を注いだのが「強い打球を放つ」ことだった。そのために、しっかりとバットの芯でボールを捉えるコンタクト率を高めることを心掛けたという。

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