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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「信頼してくれた三浦大輔監督の最後の舞台で」DeNA森原康平が誓う“最高の結果”へ…故障との戦いで得た知見「歳をとるのも悪くないな」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/10/15 11:04
右肩の故障という危機から“逆算”でポストシーズンに合わせて復活してきた森原康平。“刺せる”ボールが蘇るまでの道のりとは
森原はベテランの域に入りながらも、一度自分を壊して再び作り直すことを覚悟し、ファームで黙々と四肢の先々まで意識を働かせトレーニングに打ち込んだ。
ファームで感じていた不安
約2カ月間、DeNAの主力になってから、これほど長い期間ファームにいたことはなかった。森原は少しだけ暗い瞳をして吐露する。
「トレーニングに集中はしていましたけど、どうしてもファームにいるといろいろと考えてしまうんです。一軍の試合をテレビで見ていると、ちょっと遠くに感じたり、自分の戻る場所はあるのかなって考えてしまったり……。けど、自分が目指す最後をしっかりとイメージしながら過ごすことで気持ちを落ち着かせていました」
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また若手選手に交じっていると、嫌でも自分の年齢を感じはしたが、森原としてはそこを絶対に言い訳にはしたくなかった。
「もちろん、30代半ばに差し掛かれば、球速も落ちるし、リカバリーも遅くなることは傾向というか、全体のデータを見ればわかることですけど、僕としてはそういった評価をされたくはありませんでした。もっと球速があがる可能性を自分のなかに感じていたし、リカバリーだって食事やケア、私生活の過ごし方でどうにかなるはずだと思っていたので、そこを信じて過ごしていましたね」
入来コーチからの新たな知見
またファームにいて、森原が目から鱗というか、33歳にして新たな知見を得たのが入来祐作ファーム投手コーチの指導だった。毎日のように行われる投手ミーティングで、入来コーチは主に若手へ向けてアドバイスしていたが、森原は強い興味を持った。
「入来コーチは『とにかく打者をよく見て投げよう。打者を観察しよう』と言うんです。絶対に苦手なコースはあるし、スイングの軌道も狙い球も、人によって違う。そこを見て、察して投げることの重要性を知り、すごく勉強になりましたね。もちろん僕もこれまでバッターの様子を見ながら投げていましたが、その考えがより深まりました」
サインは捕手が考えに考え出してくれる。投手はそれに従う一方、打者の様子に集中しなにをすべきかプラスアルファを導き出す。成功者より成長者であることを常に願う森原は、入来コーチの言葉でピッチングの引き出しが増えたことを実感している。

