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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「信頼してくれた三浦大輔監督の最後の舞台で」DeNA森原康平が誓う“最高の結果”へ…故障との戦いで得た知見「歳をとるのも悪くないな」
posted2025/10/15 11:04
右肩の故障という危機から“逆算”でポストシーズンに合わせて復活してきた森原康平。“刺せる”ボールが蘇るまでの道のりとは
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
SANKEI SHIMBUN
「一度、一軍に上げてもらってあれだけ打たれたので、本来の姿を取り戻して見せないかぎり信頼は得られないだろうし、使ってもらえないだろうと思いました。とにかくここは完璧に戻るまで、ファームで集中して取り組むことに全振りしようって」
選手生命にかかわる可能性さえ
今年の12月で34歳になる。このまま再浮上できなければ選手生命が断たれる可能性もゼロではない。時間も限られているなか、森原康平のモチベーションになっていたのは、春先に自ら口にした言葉だった。
「メディアの取材で、『今年は終盤のチームが大事なときに、一番いい状態でブルペンにいられるようにします』と公言したんです。それをモチベーションにして取り組んでいましたね」
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春先こそ焦りがあったが、そもそも森原という投手は“逆算”の人間である。しっかりとゴールを決め、その過程をきちんと考察し、実行することで、目標を達成する。これまでそうやって選手生活を過ごしてきた。肩の怪我という初のアクシデントにより、方向性が定まらず迷走してしまったが、一軍を経験しファームに行った時点で、問題点は解明できていた。
「やはり肩の不調があったことで、一時期、痛くない投げ方をしてしまって、その癖が無意識のうちについてしまっていたんです。僕の投球において一番大事にしているのは、フォームのリズムとタイミング。これが肩の痛みによってズレが生じてしまった」
肩の痛みからついた無意識の癖
ついた癖を取り払うのは非常に難しいことだ。無意識の動きを意識的に修正しようとすれば、他の部位にも影響を及ぼす可能性があり、より状況を悪化させてしまうかもしれない。例えば、わかりやすいところで言えば、森原はテイクバックの際、ボールをなるべく地面に近づけるようにしていたが、肩をかばい楽に投げるためにそのポイントが少し高い位置になっていた。これでは本来の出力が出ない。もちろんテイクバックだけではないが、こういったことが体の各箇所で起きバランスを失っていた。

