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「阪神はCSに弱く、ソフトバンクが最強」はホントか…過去成績を大調査「ファイナルSに弱すぎる巨人」「じつは“3位やや優勢”のファーストS」
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/10/10 17:00
阪神タイガースが“弱い”とされるCSだが……過去のデータを全て調べてみると?
〈CS2での1位vs下位チームの対戦成績〉
1位=86勝、下位=55勝(3分け)
1位チームの勝率.610
優勝した1位チームの方がかなり有利だ。「待機時間」があるにしても、1位チームは2位以下よりも、もともと戦力があるとみるべきだろう。実際はこれにアドバンテージの33勝が加算されるので、勝率は.686にもなる。
2位を含めた「下剋上」は7回、3位は2回しかない
日本シリーズ、下位チームが優勝チームを下して進出した「下剋上」の例は、33回あったCS2で以下の7回だけ。以下は下位から見た勝敗で、アドバンテージの敗戦数を含める。「→」以下は日本シリーズの結果。
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2007年セ 2位中日が巨人を3勝0敗で下す
※この年は優勝チームのアドバンテージなし、5回戦制
→日本ハムを4勝1敗で下し日本一
2010年パ 3位ロッテがソフトバンクを4勝3敗で下す
→中日を4勝2敗1分で下し日本一
2014年セ 2位阪神が巨人を4勝1敗で下す
→ソフトバンクに1勝4敗で敗退
2017年セ 3位DeNAが広島を4勝2敗で下す
→ソフトバンクに2勝4敗で敗退
2018年パ 2位ソフトバンクが西武を4勝2敗で下す
→広島を4勝1敗1分で下し日本一
2019年パ 2位ソフトバンクが西武を4勝2敗で下す
→巨人を4勝0敗で下し日本一
2024年セ 3位DeNAが巨人を4勝3敗で下す
→ソフトバンクを4勝2敗で下し日本一
3位チームがCS1を勝ち上がりCS2も勝ち、日本シリーズで優勝した「大下剋上」は、2010年のロッテと、昨年のDeNAの2例だけ。
「阪神はCSに弱い」と決めつけられないデータとは
最後に、今年のポストシーズンに進出した6チームのCSの成績を詳細に見ていこう。アドバンテージの勝敗は含まない。
〈セ・リーグ〉
優勝:阪神 16勝24敗1分 率.400 下:3
CS1 8勝18敗1分 率.308 下:2
CS2 8勝6敗0分 率.571 下:1
2位:DeNA 17勝14敗0分 率.548 下:5
CS1 8勝8敗0分 率.500 下:3
CS2 9勝6敗2分 率.600 下:2
3位:巨人 28勝33敗2分 率.443 下:3
CS1 10勝5敗0分 率.667 下:3
CS2 18勝28敗2分 率.370 下:0
阪神が弱いのはCS1なので、CS2から出る今年は格別不利とは言えない。例年以上の甲子園の盛り上がりが有利に働くはずだ。問題は対戦相手が巨人かDeNAかどちらか、ということだ。巨人はCS2はからきし弱いがDeNAは得意にしている。DeNAが進出すれば昨年の勢いもあり、脅威となりえる。
〈パ・リーグ〉
優勝:ソフトバンク 42勝28敗0分 率.600 下:3
CS1 12勝9敗0分 率.571 下:1
CS2 30勝19敗0分 率.612 下:2
2位 日本ハム 25勝22敗0分 率.532 下:2
CS1 8勝8敗0分 率.500 下:2
CS2 17勝14敗0分 率.548 下:0
3位 オリックス 9勝6敗1分 率.600 下:0
CS1 1勝4敗0分 率.200 下:0
CS2 8勝2敗1分 率.800 下:0
ソフトバンクほどCSでの経験値が高いチームはない。CS2ではどちらのチームと対戦しても優位は動かない。日本ハムはCSを数多く経験しているが、オリックスは21~23年の3連覇を除けば2008年と14年しか3位以内に入っていない。経験値では日本ハムが優位ではないか。
短期決戦であり、大活躍する選手が出たチームが有利になる。最長で11月2日まで続くポストシーズン、秋の夜長にじっくり楽しみたい。


