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「胸が痛いです」藤井聡太が19、23歳で経験“タイトル戦トラブル”将棋界も無関係ではない大災害「東日本大震災時の立会人だった」元A級棋士が語る 

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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photograph by日本将棋連盟

posted2025/10/01 06:00

「胸が痛いです」藤井聡太が19、23歳で経験“タイトル戦トラブル”将棋界も無関係ではない大災害「東日本大震災時の立会人だった」元A級棋士が語る<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

藤井聡太七冠が6連覇を達成した王位戦では、台風15号による対局場変更というアクシデントが起きた

 王将戦第5局は中原が勝ったが、谷川は第6局に勝って4勝2敗で防衛した。

 2015年3月12、13日。渡辺明王将(30)に郷田真隆九段(43)が挑戦した第64期王将戦第5局は、新潟県佐渡市の旅館が対局場だった。しかし日本海は暴風と荒波に襲われ、新潟港から佐渡の両津港に向かうフェリーが欠航となった。対局者らの一行は11日に新潟市のホテルに泊まり、天候が回復した12日の午前に両津港に着いた。

 そこで主催者が協議した結果、各8時間の持ち時間を7時間に減らし、12日の13時30分から対局を開始することを決めた。到着直後に地元関係者は歓迎レセプションを開き、「世界遺産登録を目指す佐渡で、歴史に残る対局を」と両対局者を激励した。

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王将戦第5局は渡辺が勝ったが、郷田は第6局と第7局に連勝して王将を初めて獲得した。

東日本大震災から3日後の王将戦…立会人の記憶

 2011年3月14、15日。久保利明王将(35)に豊島六段(20)が挑戦した第60期王将戦第6局は、神奈川県秦野市の旅館「陣屋」が対局場だった。11日には東日本大震災が起き、首都圏も震度5を観測して各地にさまざまな被害が生じた。

 私こと田丸八段(60)はその対局で立会人を務めた。13日に対局者や関係者らと、新宿駅から小田急線に乗り、鶴巻温泉駅で降りて対局場に着いた(翌日から運休になった)。

 実は、主催者は王将戦の対局を行うかどうか、13日の夜まで協議していたという。大震災の影響で、スポーツ・文化の行事が中止や延期になっていた。そして夜の8時頃、「いろいろな意見が出ましたが、対局は粛々と行ってもらうことになりました」という報告があった。その王将戦第6局は久保が勝ち、4勝2敗で王将を防衛した。〈将棋特集:つづく〉

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