- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
ソフトバンクスカウト「石垣元気の“変化球”がスゴい」高校日本代表に密着…「長すぎる夏」に末吉良丞“ついに本音”「帰りたい…勉強やばいです」
text by

松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byTakarin Matsunaga
posted2025/09/23 11:53
「ドラフト1位競合級」と評価される健大高崎の石垣元気。U-18W杯の期間中にフォームを修正し、復調を遂げた
社会人の沖縄電力との練習試合、さらに大学日本代表、沖縄選抜との壮行試合の3試合でそれぞれヒットを放ち、木製バットへの高い適応力を見せた。しかし大会に入った途端、快音が止まり、オープニングラウンドの第4戦・南アフリカ戦ではスタメンを外れる。だが、スーパーラウンドで4番に復帰してから本来の姿を見せつけた。3試合連続でマルチヒットを放ち、スーパーラウンドでは12打数6安打の打率5割。代表キャプテンも務めた阿部はこう自己分析する。
「割り切って打席に立つようにしました。速球派の投手が多いなかで振り遅れがあったので、今の身体の状態を考えて軽くて振りやすいバットを選択しました」
880gのバットを大会途中で850gの軽いバットにマイナーチェンジして短期間できっちりとアジャストするあたり、さすがはプロが注目する逸材だ。
「勉強やばいです」“末吉の本音”を聞いた
ADVERTISEMENT
国体に出場する山梨学院の横山悠を除いて、U-18日本代表の3年生たちの高校野球はこれで終わりを告げた。
さまざまな思いが交錯するなか短期間で即席チームを構成し、試合を重ねるごとに力をつけていった日本代表。夏の甲子園優勝チーム以外、ほとんどの者が3年間に未練を残すことになるのが高校野球の常だが、代表チームで日の丸をつけて精一杯プレーできた意義は大きいはずだ。
大学に進学する者、社会人で野球をやる者、プロ志望届を出した者。進路は様々だが、今後は次のステージで仲間たちとふたたびしのぎを削ることになる。
一方、地元・沖縄を熱狂させた“唯一の2年生”にもあわただしい毎日が待っている。閉会式後、いつも泰然自若な末吉が、ようやく高校生らしい顔を見せてくれた。
「早く家に帰りたいです。授業も休んでいますし、勉強やばいです」
秋季大会を気にして「休めないですよ」とはにかみながら呟いていたが、今はゆっくりと心も身体も休めてほしい。逸材を追いかける者として、願いはそれだけだ。
<前編とあわせてお読みください>


