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甲子園の風BACK NUMBER
ソフトバンクスカウト「石垣元気の“変化球”がスゴい」高校日本代表に密着…「長すぎる夏」に末吉良丞“ついに本音”「帰りたい…勉強やばいです」
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byTakarin Matsunaga
posted2025/09/23 11:53
「ドラフト1位競合級」と評価される健大高崎の石垣元気。U-18W杯の期間中にフォームを修正し、復調を遂げた
スーパーラウンドのアメリカ戦。延長タイブレークの8回1死満塁というシチュエーションで登板した石垣は、最初の打者に154kmの火の玉ストレートを連発して三球三振。最後の打者には144kmのスプリットを見せつけ、2球連続の155kmでねじ伏せた。球数はわずか8球ながら、そのうち7球が150km以上という圧巻の投球だった。
末吉と石垣が好リレーも…アメリカの剛腕に沈黙
末吉から石垣につなぐ日本代表の必勝パターンが確立された。決勝のアメリカ戦では、ふたたび末吉が先発。名実ともにエースの扱いを受ける末吉は万雷の拍手を浴びてマウンドに上がった。
初回、四球と単打で2死一、二塁となるも、走者を背負っても動じない末吉は後続をライトフライに打ち取る。2回も1死一、二塁と得点圏にランナーを置いたものの、スライダーで後続を連続三振に仕留める。3回はサードライナー、145kmのストレートで空振り三振、そして143kmを詰まらせてのファーストゴロ。アメリカ打線を完全に手玉に取った。
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4回は微妙な判定による内野安打と、レフト前ヒットで1死一、三塁のピンチを招く。ここでも末吉はストライク先行で追い込んだものの、ボテボテのファーストゴロが内野安打となって失点。ここでお役御免となった。3回3分の1を投げて、被安打5、3奪三振、1失点。だが、完璧に打たれての失点ではない。緩急を織り交ぜながらの投球に、この日もアメリカ打線は末吉の球を捉えることはできなかった。
リリーフの石垣が引き継ぎ後続をピシャリと抑えるも、5回に連続四死球から満塁となり犠牲フライで失点。1点を失ったものの、石垣は3回3分の2を投げて被安打0だった。
結局、決勝は身長198cmの剛腕コールマン・ボスウィックに散発3安打、1四球、6奪三振と完璧に抑えられ、0対2で惜敗した。
優勝したアメリカの選手たちがマウンド上で喜びを爆発させる最中、スタンドでは自然発生的に「USA」コールが響きわたる。この沖縄の地での「USA」コールは、スポーツが国境を超えることを十分に示唆してくれるものでもあった。
スカウトが高評価“打者の逸材”は早大進学?
先のソフトバンクの古澤スカウトの証言通り、バッター陣では日本代表の4番を打った横浜の阿部葉太が注目を集めた。阿部は早稲田大学への進学を希望しているとも伝えられている。
春に右太ももを痛めたものの甲子園では4試合で3割7分5厘、4打点、三振はゼロ。左右に打ち分けるシュアなバッティングで、順当に日本代表に選ばれた。


