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カーショウ37歳と師匠・黒田博樹引退イヤー“美学の一致”「vs大谷翔平は11打数0安打」「ドジャースひと筋で223勝」21世紀最強左腕の証明 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/09/22 17:02

カーショウ37歳と師匠・黒田博樹引退イヤー“美学の一致”「vs大谷翔平は11打数0安打」「ドジャースひと筋で223勝」21世紀最強左腕の証明<Number Web> photograph by Ronald Martinez/Getty Images

21世紀最高の左腕カーショウ。通算成績、日本人関連の数字を見ても興味深いものが続々と発掘される

〈ドジャースでの通算勝利数10傑〉
サットン233勝181敗3816.1回2696振 率3.09
カーショウ223勝96敗2855.1回3052振 率2.53
ドライスデール209勝166敗3432回2486振 率2.95
ヴァンス190勝131敗2757.2回1918振 率3.17
ケネディ177勝149敗2857回749振 率3.98
コーファックス165勝87敗2324.1回2396振 率2.76
グライムス158勝121敗2425.2回952振 率3.47
オスティーン147勝126敗2396.2回1162振 率3.09
バレンズエラ141勝116敗2348.2回1759振 率3.31
ポドレス136勝104敗2029.1回1331振 率3.66

 あと11勝でドン・サットンを抜いてドジャース1位になるところだった、奪三振数は1位。伝説の名左腕サンディ・コーファックスは165勝で6位。彼もフランチャイズプレイヤーだった。

 現役では42歳ジャスティン・バーランダー(42歳/ジャイアンツ)が265勝、37歳カーショウの222勝に次いで、マックス・シャーザー(40歳/ブルージェイズ)が221勝だが、これに続くのはゲリット・コール(34歳/ヤンキース)の153勝、41歳チャーリー・モートン(41歳/タイガースをDFA)の147勝。3人の200勝投手が退けば、MLBも「200勝投手不在の時代」になるかもしれない。

カーショウvs大谷は「11打数0安打」の凄み

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 筆者は6月20日、ドジャースタジアムでのカーショウの登板を現地で観た。フォーシームの球速は145km/h程度。カーショウと言えば「投げおろし」の印象だったが、幾分サイド気味でもあった。ホームランを打たれたが、走者を出しても動じることなく悠々と投げていた。既に圧倒的なマウンドではなかったものの、ベテランらしく「試合を作っていた」印象だ。

 ただ、マウンドに上がるカーショウへの拍手は、大谷翔平に負けないほど大きかった。

〈日本人打者との対戦成績〉
鈴木誠也8打4安0本1点 率.500
青木宣親18打4安0本2点 率.222
イチロー8打3安0本0点 率.375
松井稼頭央5打1安0本0点 率.200
大谷翔平11打0安0本0点 率.000
川崎宗則4打0安0本0点 率.000
松井秀喜3打0安0本0点 率.000
城島健司2打0安0本0点 率.000
岩村明憲1打0安0本0点 率.000


 力が衰えてからではあるが、鈴木誠也はカーショウを得意にしていた。またイチローはカーショウからも3割を打っている。しかし本塁打は誰も打っていない。なおヤンキースに移籍してからの黒田博樹とも打者として対戦して、2打数0安打。

 大谷翔平のMLB挑戦時、ドジャースは入団交渉の場にサプライズでカーショウを登場させた。しかしDHのない当時のナ・リーグへの移籍は無理筋だった。

 エンゼルスに入団した大谷とインターリーグで対戦したカーショウは、11打数0安打4三振と徹底的に大谷を痛めつけた。そんな大谷が現地時間19日、カーショウのドジャースタジアムでのレギュラーシーズン最終登板で、決勝52号3ランを放つ辺りはさすがの千両役者ぶりだが――昨年、チームメイトになって大谷はホッとしたのではないか。

 1966年、27勝を挙げて3回目のサイ・ヤング賞を受賞したドジャースのサンディ・コーファックスは左ひじの故障を訴え、突如引退を表明。全米を驚かせた。スヌーピーやチャーリー・ブラウンで知られる漫画『ピーナッツ』でも取り上げられたほどだ。

じつはカーショウと黒田の引退イヤーに“共通点”

 11勝2敗、余力を残して引退したという点で、カーショウはコーファックスの流れを汲むといえるだろう。

 そういえば前述したカーショウの盟友、黒田博樹も広島に復帰して10勝8敗を記録した2016年限りで引退している。2ケタ勝利で現役ラストイヤーを締める――そんな共通項で「美学」を共有したといえるのではないか。

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