「勉強、故障と理由をつけて休もうとする」芝浦工大チームを箱根駅伝に導けるか!? 徳本一善新監督の挑戦「改善できない選手にはやめろ、と言います」 

　選手は3000mなど走ったことがないので、いきなり自己ベストということになる。それを基準に取り組み、再度、走って自己ベストを出すと「自分は強くなっている」という感覚を得られるようになる。徳本は、その小さな成功体験の感覚を大事にして、次のステップである5000mや10000mに繋げていくようにしていった。

自由と主体性のせめぎ合い

　日を追うにつれて、真面目に取り組む選手と、少し悩みながら進む選手、隙あらばを狙う選手に分かれていった。彼らは、“自由”を与えた瞬間に異なる動きを見せた。徳本監督は、テスト期間中、全員集合の練習を全部なくした。自己管理をして、練習も勉強もしてもらうための処置だった。勉強のためであるということをくれぐれも忘れないように、と念を押した。

　だがそれでも、その自由を利用して遊びにいく選手が出た。ルールが破られた以上、二度とルールとして設定しないと全体に通告した。配慮はせずに全員集合を再開した。

©Ichisei Hitamatsu

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「そうすると、真面目にやっていた学生がバカを見ることになる。それで反発した学生もいたけど、俺のロジックとしては、チームとして取り組んでいることなので、ひとりだけ真面目にやっていればいいということではない。ルールを破らないような空気や環境作りをしなかったのは学生たちに責任があるし、破った学生には注意をしないといけない。

　そりゃ、成熟したチームになればもっと自由にしてあげたいですよ。自分の役割を理解した上で行動ができるのが主体性だと思っているので、その主体性を育むには今回のようなチャンスを与えて、やり切ってもらうことが必要なのですが、うちはまだできないですね」

　駿河台大の監督時代には午後9時30分に携帯電話を回収し、午後10時消灯にしていた。芝浦工大では携帯は回収していないが、同じく10時消灯だ。だが時々、探りを入れるために午後10時30分ぐらいにメッセージを入れると、20名ぐらいの選手が既読になった。また、夜中に寮を抜け出して遊びに出かける選手も出た。

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