「私の一番のアンチは私なんです」“キッズファイター”のイメージを超えたAZM（22歳）の今…渡辺桃戦後の涙の理由「初めて“悔しい”って言いました」 

払拭された「キッズファイター」のイメージ

　年齢のこともネガティブに捉えていた。どんなに結果を出しても、いい試合をしても「若いのに凄い」、「まだ10代!?」と年齢の話がついてくる。なかなか“ひとりのレスラー”として見てもらえなかった。

　ニックネームは“パイセン”。大人の選手たちに混ざっても、たいていAZMのほうがキャリアが上だった。紫雷イオには「AZMちゃんはキャリアに年齢が追いついたら凄い選手になるよ」と言われたそうだ。

　おそらくそれが今、そしてこれからなのだ。22歳。キッズファイターのイメージは払拭されたと言っていい。とりわけインパクトがあったのが7月のボジラ戦だ。183cm、91kgの大型選手を、スピーディーな動きだけでなく関節技を巧みに駆使して攻略してみせた。

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「関節技を使うようになったのはハイスピードの最多防衛をした頃ですね。動きの速い選手を止めるのに使ってました。それが今は大きい選手のパワーを封じるために役立つようになりました」

　5★STAR GP決勝トーナメントの準々決勝ではワールド・オブ・スターダム王者の上谷沙弥にも勝っている。この結果を受けてAZMは上谷に挑戦表明。9.27後楽園ホール大会で、AZMが持つSTRONG女子王座もかけダブルタイトルマッチが行われることになった。

試合後に涙を流した理由「初めて“悔しい”って言いました」

　渡辺桃戦後のバックステージコメントでは涙を見せている。「たぶんコメントで初めて“悔しい”って言いました」。しかし「復活も早かったですね」。

　試合を見た元スターダムの高橋奈七永と話をしたのがきっかけだった。

「スターダムでは（後輩が多く）試合の反省点を言ってもらえることもあまりないので。客観的に見てアドバイスしてもらえたのは凄くよかったです。“私もまだ伸びしろあるんだ”って」

　努力や創意工夫、できることはなんでもしてきた。「あとは試合の日のコンディションをどうよくするか」くらいしかできることはないと思っていた。だが“女子プロレス界の人間国宝”高橋の言葉で、まだまだやれることがあると考えられるようになった。

「それに、弱いところもちょっとくらい見せていいのかなって」

　いつも強気で元気なのが“AZMパイセン”だった。自分もプロレスファンだから「レスラーの弱いところを見るのが嫌だったんです。だから自分も見せないようにしてきた」。

　けれど悔し涙を見せることで生まれる物語もある。弱い自分を直視し、時に愛することも“強さ”の一部なのだ。やはり元QQである上谷戦でのAZMは、間違いなく今まで以上に強くなっている。