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《阪神・史上最速セ優勝》見逃しがちな独走要因…二冠王とMVP確実・佐藤輝明「23失策→5に激減」、球児采配ズバリ「圧倒的な投手陣運用」
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/08 17:17
藤川球児新監督体制で2年ぶり7回目のセ・リーグ優勝を果たした阪神タイガース。独走での最速優勝を飾った要因とは
(三)佐藤輝明480打133安36本89点10盗 率.277 RC96.01(1)
(右)森下翔太487打131安20本80点5盗 率.269 RC75.99(2)
(中)近本光司511打142安3本33点28盗 率.278 RC69.89(3)
(二)中野拓夢466打135安0本26点19盗 率.290 RC62.04(9)
(一)大山悠輔455打120安9本66点6盗 率.264 RC61.79(10)
(捕)坂本誠志郎296打72安2本22点2盗 率.243 RC38.45(24)
(遊)小幡竜平252打55安5本17点6盗 率.218 RC19.85(47)
(左)前川右京175打41安0本10点0盗 率.234 RC14.40(57)
(外)髙寺望夢108打26安2本6点2盗 率.241 RC13.88(59)
(内)熊谷敬宥125打32安1本17点5盗 率.256 RC11.00(73)
(内)木浪聖也154打30安0本14点1盗 率.195 RC9.91(75)
今季のセ・リーグは史上最少の18人しか規定打席以上の打者がいないが、そのうち5人が阪神である。本塁打、打点はダントツで佐藤輝明。安打、盗塁は近本が1位、打率は中野が3位、打撃タイトルの大半を阪神勢が占める勢いだ。また捕手の坂本は投手から信頼を寄せられるリードをしている。
NPBの各チームが「猫の目打線」を組んで、1つのポジションに複数の選手を起用する中、阪神は岡田前監督以来の「ポジションを固定する選手起用」で安定感ある戦いをした。
サトテルが23→5失策、サード守備率1位に急上昇
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そして守備。守備率.989は中日に次ぐ2位。三塁の佐藤輝明は、昨年23失策、守備率.924で断トツの最下位だったが、今季はわずか5失策、守備率.978で1位と急上昇した。二冠王が確実なことも含めて、攻守にわたる傑出度からして「サトテル」はMVPの本命だ。
藤川監督は「ペナントレースとCSは別物」として、阪神がリーグ優勝したという事実を強調した。ここから長いポストシーズンの果てに「日本一」が決まる。
新人監督は、この優勝を「道半ば」ととらえているのだろう。
石井大智の無失点記録は「48試合」にまで継続
【第22週】 ※2025年9月1日から9月7日まで
〈セ・リーグ〉
・チーム順位
阪神126試78勝45敗3分率.634差-
巨人126試61勝62敗3分率.496差17
DeNA125試58勝62敗5分率.483差18.5
中日125試56勝67敗2分率.455差22
広島125試54勝66敗5分率.450差22.5
ヤクルト121試45勝70敗6分率.391差29
・第22週
阪神6試5勝1敗0分率.833
DeNA6試4勝2敗0分率.667
巨人6試4勝2敗0分率.667
ヤクルト6試2勝4敗0分率.333
中日6試2勝4敗0分率.333
広島6試1勝5敗0分率.167
9月に入ってからも阪神の勢いは止まらず。CS争いをするDeNA、巨人と中日、広島で差がついた。
〈パ・リーグ〉
・チーム順位
ソフトバンク124試75勝45敗4分率.625差-
日本ハム125試72勝50敗3分率.590差4
オリックス122試63勝56敗3分率.529差11.5
楽天122試57勝63敗2分率.475差18
西武122試56勝63敗3分率.471差18.5
ロッテ121試46勝72敗3分率.390差28
・第22週
ソフトバンク6試5勝1敗0分率.833
西武5試4勝1敗0分率.800
オリックス6試3勝3敗0分率.500
ロッテ6試2勝4敗0分率.333
日本ハム6試2勝4敗0分率.333
楽天5試1勝4敗0分率.200
オリックスはソフトバンクに3連敗、日本ハムに3連勝、その結果としてソフトバンクが息を吹き返し日本ハムとの差は4に広がり、マジックは15となっている。
【打撃成績】 ※打撃の総合指標RC順
〈セ・リーグ〉
細川成也(中)21打8安4本9点0盗 率.381 RC8.75
村上宗隆(ヤ)20打7安4本11点0盗 率.350 RC7.89
佐藤輝明(神)22打8安2本5点0盗 率.364 RC7.08
森下翔太(神)20打8安1本5点1盗 率.400 RC7.02
濱田太貴(ヤ)26打10安1本4点0盗 率.385 RC6.71
〈パ・リーグ〉
藤岡裕大(ロ)17打9安1本3点0盗 率.529 RC6.58
西川愛也(西)21打8安1本6点2盗 率.381 RC5.32
柳町達(ソ)20打8安0本4点0盗 率.400 RC5.17
髙部瑛斗(ロ)25打8安0本1点1盗 率.320 RC4.73
栗原陵矢(ソ)23打8安1本6点0盗 率.348 RC4.46
セは夏以降に復帰した中日・細川、ヤクルト村上が大暴れ。村上は4本塁打、11打点でトップ。出場わずか37試合でリーグ3位の17本塁打。盗塁は阪神・森下など10選手が1。パはロッテとソフトバンクの打者が好調。本塁打はソフトバンク牧原大成、楽天ボイトが2、打点は西武西川、ソフトバンク栗原が6。盗塁は西武・西川の2が最多。セの規定打席以上は18人、パは19人。依然史上最少レベルである。
【投手成績】 ※PR順
〈セ・リーグ〉
東克樹(デ)1登1敗8回 責0率0.00 PR3.00
吉村貢司郎(ヤ)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.63
森田駿哉(巨)1登1勝6回 責0率0.00 PR2.25
柳裕也(中)1登1勝6回 責0率0.00PR2.25
山﨑伊織(巨)1登1敗8回 責1率1.13 PR2.00
〈パ・リーグ〉
今井達也(西)1登1勝9回 責0率0PR3.33
渡邉勇太朗(西)1登1勝9回 責0率0PR3.33
上沢直之(ソ)1登1勝8回 責0率0PR2.96
大津亮介(ソ)1登1勝7回 責0率0PR2.59
種市篤暉(ロ)1登1勝9回 責1率1PR2.33
セはDeNA東が9月3日の広島戦で8回自責点0も負け投手に。救援では巨人マルティネスが4セーブ、中日メヒア、藤嶋健人が3ホールド。パは2日の楽天戦で西武の今井が完封、同じく渡邉が6日ロッテ戦で完封。今井は100球ちょうど、渡邉は97球でマダックス達成。救援ではソフトバンク杉山一樹、オリックスのマチャドが2セーブ、西武甲斐野央、日本ハム齋藤友貴哉、オリックス、ぺルドモが2ホールド。
〈記録〉
阪神・石井大智の連続試合無失点記録は「48」に。NPB記録を更新中。9月5日のオリックス戦でソフトバンク上沢直之が史上159人目の通算1000奪三振。

