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《阪神・史上最速セ優勝》見逃しがちな独走要因…二冠王とMVP確実・佐藤輝明「23失策→5に激減」、球児采配ズバリ「圧倒的な投手陣運用」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/09/08 17:17

《阪神・史上最速セ優勝》見逃しがちな独走要因…二冠王とMVP確実・佐藤輝明「23失策→5に激減」、球児采配ズバリ「圧倒的な投手陣運用」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

藤川球児新監督体制で2年ぶり7回目のセ・リーグ優勝を果たした阪神タイガース。独走での最速優勝を飾った要因とは

3・4月26試14勝11敗1分 率.560(2)
5月25試15勝9敗1分 率.625(2)
6月22試11勝11敗0分 率.500(1T)
7月22試17勝5敗0分 率.773(1)
8月25試16勝8敗1分 率.667(1)
9月6試5勝1敗0分 率.833(1)

 実は5月までは上位グループにつけていたが、独走ではなかった。

 6月、セ・リーグは交流戦で43勝63敗2分と歴史的な大敗を喫した。阪神も8勝10敗と負け越したが、6月トータルでは11勝11敗と五分に持ち込み広島と並ぶリーグ1位、そして交流戦明けの7月から圧倒的に勝ちまくった。

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 今季の阪神は、交流戦で西武、楽天、ロッテ相手に7連敗したが、それ以外には4月に4連敗したのみ。6月から今まで続く酷暑で、各チームが故障者、成績不振者を出す中で阪神はコンスタントに勝ち続けた。

圧倒的な先発を上回るリリーフ…球児体制でズバリ

 藤川球児監督は就任時「組織として強くなること」を方針にしたが、まさにこれが実現したといえよう。その組織力が最も発揮されたのが投手陣だ。

〈先発投手陣〉
才木浩人22登12勝5敗 144.2回 責26率1.62 PR20.44(1)
デュプランティエ15登6勝3敗 90.2回 責14率1.39 PR15.10(3)
村上頌樹22登11勝3敗 150.1回 責34率2.04PR14.26(4)
伊藤将司12登4勝1敗 77回 責16率1.87 PR8.72(10)
伊原陵人23登5勝7敗1H 98回 責24率2.20 PR7.46(11)
大竹耕太郎13登7勝3敗 76回 責24率2.84PR0.40(62)

 PRは、リーグ平均防御率2.89に基づく指標。防御率が平均以下ならPRはマイナスになるが、先発陣はすべてプラス。防御率1位の才木をはじめ圧倒的な先発陣だった。

 しかし、それを上回ったのが救援陣だ。

石井大智51登1勝0敗9S35H51回 責1率0.18 PR15.37(5)
及川雅貴60登6勝3敗1S40H57.1回 責6率0.94 PR12.40(9)
岩崎優49登1勝2敗31S7H48回 責9率1.69 PR6.41(24)
漆原大晟11登0勝0敗0S2H11.2回 責0率0.00 PR3.74(38)
ネルソン21登1勝1敗0S7H22.2回 責4率1.59 PR3.28(41)
ドリス14登2勝0敗0S5H13.1回 責1率0.68 PR3.28(45)

 石井大智は今季51回登板して1点しか失っていない。

 防御率は0.18、石井の防御率が0.20台を割ったのは8月30日だったが、ここから5試合無失点に収めても0.02しか向上しておらず、異次元の領域にいるといえよう。PRは投球回数が多い投手が有利だが、石井はPRで先発も含めた全投手中の5位に入っている。また左腕・及川もPRで9位だ。クローザーの岩崎も31セーブ。そして7月31日に6年ぶりに復帰した37歳のドリスも防御率0点台だ。

 抜群のパフォーマンスの先発投手陣が退いても、キレッキレで鉄壁の救援陣が控えている。大きな話題になった投手は石井大智を除いていないが、藤川監督体制での投手運用が的確だった裏付けともいえる。総合的な「レベルの高さ」で5球団を圧倒したといえよう。

サトテルだけでなく…セ個人タイトル大半の打撃陣

 続いては、打撃陣である。

 RCという安打、本塁打、盗塁、四死球などを含む総合的な打撃指標での順番で、見ていこう。

【次ページ】 サトテルが23→5失策、サード守備率1位に急上昇

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