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CS死守へ!「牧さん宮﨑さんがいないから、で終わりたくない」DeNA林琢真25歳“主力の穴”を埋める成長とは「約10kgの肉体改造」「愛妻のために」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/08 11:04
牧、宮﨑が不在の内野をどこでも守り、キャリアハイの出場数を更新している林琢真。今季の成長の要因を語った
ユーティリティーを武器に勝負する時期がきた
「入団したときから守備のユーティリティー性において、チームになにかあったときに備えて準備はしてきたので、いよいよその勝負のタイミングが来たなと思っています。ルーキー時代に比べれば、どこであっても一軍クラスの守備はできるようになりましたし、とくに今年は体が大きくなり、かつ体幹も強くなっているので、すごく安定しているように感じています。内野手はフィジカルも求められるので、スピード、強さという面で成長しているなと思います」
そう言うと、田中コーチは確信した様子でつづけた。
「今の時代、ユーティリティー性を持った選手が重宝されますし、林はそういう資質があるといった我々の見立てでここまで来ています。3年目、チャンスを掴むところまでは来たと思うので、あとはいかに自分のものにできるかが勝負ですね」
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シーズン残りわずかだが、サードを守る主力の宮﨑も離脱してしまった今、クライマックスシリーズ進出を目指すチームにとって林の役割はより一層大きくなったと言っていいだろう。林は目に力を入れて言う。
「チームの雰囲気は決して悪くはありませんし、全員が前を向いていると思います。牧さん離脱の影響ですか? いや牧さんがチームを離れたことによって、全員が自分の役割を全うしないといけない気持ちになっていますし、牧さんがいないから、また宮﨑さんがいないからといった感じで決して終わりたくないって考えていると思います」
日々を支えてくれる新妻のために
肉体改造によって手に入れたパワーを武器に、内野のユーティリティーとして獅子奮迅の活躍が求められる林ではあるが、勝利というモチベーション以外に自分を支えているものは何なのだろうか。そう問うと、林はしばらく考え、少しだけ表情を緩めて言うのだ。
「今年結婚をしたんですけど、自分が試合で活躍して笑顔で妻が出迎えてくれる毎日がやっぱりいいなって思うんですよ。自分が活躍できずミスをしたときも一緒に落ち込んでくれるんですけど、やっぱりそういう顔をさせてはいけないって思っているんです」
応援してくれる人、そして愛する者のために戦う心を燃やす。5月9日の広島戦(横浜スタジアム)でのサヨナラ安打による涙のお立ち台もそうだが、とにかく家族思いの林らしいモチベーションだ。身近な人の笑顔は、ひいてはチームやファンの喜びに還元される。残りわずかなシーズンではあるが、果たして掴みつつあるチャンスをものにできるのか。唯一無二の選手になるため、林の更なる奮起に期待をしたい。

