オリンピックPRESSBACK NUMBER

女子体操・杉原愛子25歳「高校生の時より進化」10代選手たちの中でなぜ快進撃している?「アップも泣きながら…」今明かす“ケガに悩んだ壮絶な日々”

posted2025/09/10 11:01

 
女子体操・杉原愛子25歳「高校生の時より進化」10代選手たちの中でなぜ快進撃している?「アップも泣きながら…」今明かす“ケガに悩んだ壮絶な日々”<Number Web> photograph by L)Asami Enomoto、R)AFLO

5月のNHK杯では劇的な優勝を果たした杉原愛子さんのインタビュー(第1回)

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

PROFILE

photograph by

L)Asami Enomoto、R)AFLO

10年ぶりのNHK杯優勝、10年ぶりのアジア選手権金メダル、そして、6年ぶりの世界選手権代表入り。体操女子でオリンピックに2大会出場したベテラン、杉原愛子(TRyAS)の進撃が止まらない。

自ら開発したスパッツ型のユニフォーム「アイタード」をまとって観衆を魅了する25歳は、第一線から退いた時期を経て復帰3年目の今年、目を見張るような活躍をしている。10月にインドネシアで開催される世界選手権に向けて練習に励む杉原に、10年ぶりに女王の座に返り咲いた要因や、女子ジュニアアスリートたちへの思いなどをたっぷりと聞いた。《NumberWebインタビュー全3回の初回/第2回第3回に続く》

◆◆◆

高校1年生から“10年ぶり”の快挙

 5月に開催された体操NHK杯。4月にあった全日本個人総合選手権2位のスコアを持ち点として臨んだ杉原は、最終種目のゆかで逆転し、15歳で初制覇した時以来となる優勝を飾った。個人総合で争われるこの大会は、伝統的にその年の最も重要な世界大会(オリンピック、世界選手権)の代表が決まる場であり、独特の緊張感が漂う。女王の称号や日本代表を目指す重圧がある。

 杉原はその中で跳馬、段違い平行棒、平均台、ゆかの全4種目を通じて躍動感にあふれる演技を披露した。最終種目のゆかを終えて逆転での優勝が決まると、ビックリしたような表情を浮かべながら10年前を振り返った。

ADVERTISEMENT

「(15年に)高校1年生で優勝した時は、全日本個人総合選手権3位からのNHK杯だったので、世界選手権代表になりたいという一心でやっていました」

 それから10年。

「経験を積んできたことで視野が広がり、考え方が変わりました。優勝を目指すというより自分の納得のいく演技をしたかったですし、楽しくやれたのが結果に繋がりました。自分で勝ち取ったのではなく、周りのサポートやファンの皆さんの応援があったからこその優勝。そのことをすごく実感できた10年ぶりの優勝でした」

 心境の変化をしみじみと語った。

じつは苦しんできた“ケガとの闘い”

 ハイライトである「ゆか」では、自身の競技人生をストーリー仕立てで表現した。演技の前半部分には、16年リオデジャネイロ五輪から21年東京五輪までの時期に経験したケガや手術、自国開催五輪の重圧など、大舞台の陰にある不安や葛藤を振り付けや表情に落とし込んだ。

「世界大会の代表になれたのはすごく光栄でしたが、反面には大変なことや辛いこと、悔しいこともありましたから」

【次ページ】 「アップも泣きながらするくらい…」

1 2 3 NEXT
#杉原愛子
#宮田笙子
#村上茉愛
#パリ五輪
#ロサンゼルス五輪
#オリンピック・パラリンピック

体操の前後の記事

ページトップ