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「レオタードを着たくない子が半数以上」新型レオタードを開発した杉原愛子に届いた“生の声”「アイタードでしか作れないデザイン」も登場した現在地
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矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto
posted2025/09/10 11:03
競技生活と同時に、体操の普及や新型レオタードの普及活動も行う杉原愛子さん
「アイタードでしか作れないデザイン」
女子選手のユニフォームに関する悩みを解消すべく、自ら企画・開発、そしてデザインまで手がけている「アイタード」は、コンスタントに引き合いの声が掛かるようになってきた。
特に5月の NHK杯で着用したデニムの短パンとレオタードがドッキングしたようなデザインのアイタードはインパクトが絶大で反響が大きく、優勝によってアイタードそのものの認知度も大幅にアップした。
杉原がデニム調のこのデザインを思いついたのは昨年12月。
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「アイタードでしか作れないデザインにしたいと思って考えついたのがこれでした。参考にしたのはJ-POPやK-POPアイドルグループの衣装。これを着てから、『レオタードよりこっちの方がいい』とか『これなら安心できるからみんなこれを着たらいいのに』とか『どうして今までこれがなかったんだろう』とか、ポジティブなコメントをたくさんいただきました」
SNSのメッセージ機能を通じて「購入したい」という連絡や問い合わせも数多く受けている。試合用ではなくまずは練習着として採り入れたいという声もある。
ちなみに値段は、ラインストーンが多くついたデザインの試合用アイタードだと4、5万円ほどするが、練習着なら高くても3万円程度。中には1万円を切るものもあり、大学や高校生のチームでそろえているところもあるという。
「アイタードを考案したのは体操競技のユニフォームを選ぶときに選択肢を提供したいと思ったからですが、実際に作ってみると、『安心して子どもに着せられる』という声を多く聞き、それは私の大きなモチベーションになりました」
「レオタードを着たくない子が半数以上」という調査も
杉原が初めてアイタードを着て公式の試合に出場したのは23年。それ以降も、杉原自身が練習や試合で着用しながら気づいた改善点を業者に伝え、さまざまな改良を重ねている。初期の頃は演技中にスパッツの足の部分がずり上がってくるという難点があったが、布の裁断や縫製を変えることで改良に成功。首回りや背中の部分についても、体操特有の上半身の動きに柔軟に対応できるように、布のサイズも何度も微調整した。
現在の課題はさらなる認知度の向上と販路の拡張だ。


