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親会社から「今後の発展を見込めない」…ラグビーリーグワン“日本選手権優勝3回”の名門が退会危機のナゼ 窮地のウラにラグビー特有の“ある課題” 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2025/09/03 17:01

親会社から「今後の発展を見込めない」…ラグビーリーグワン“日本選手権優勝3回”の名門が退会危機のナゼ 窮地のウラにラグビー特有の“ある課題”<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2002年度に初めて日本選手権を制したNEC。計3度の日本一にも輝いた名門がなぜリーグ脱退という窮地に立たされているのか

「譲渡」が成立すれば、オーナーが変わるだけでチームの現在のステータス(D2、あるいは入替戦の結果で決まった位置)は維持される。「譲渡」とみなされる条件について東海林専務理事は「既存戦力の7~8割が引き継がれること」と話した一方「それは主たる戦力を引き継ぐことが大切なのであって、必ずしも人数で(厳密に)定めているわけではないです。最終的には理事会での議論を経て承認される」と説明した。

 そして東海林専務理事は、ここまでの話し合いの流れから「今後の可能性」を次のようにあげた。

(1)チーム運営のコストをさげての保有を続ける
(2)譲渡
(3)リーグワン退会

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 以上のうち(1)はクラブ化、同好会化などでの活動継続を意味する。(2)の譲渡が最も望ましいオプションとして検討されているが、現状では譲渡先が見つかっていない。

12月までに譲渡先がなければ「退会」

 うまく進まなかった場合は(3)のリーグワン退会を選ぶ意思が伝えられており、その場合は退会するシーズンが始まる1年前には申請する必要がある。25-26年シーズンを最後に退会するなら、翌シーズンが開幕する1年前、つまり2025年12月が申請の期限となる。ここから4カ月弱の間に譲渡先が見つからなければ「退会」の手続きを始めることになる。

 では、日本王者に輝いた経験もある名門がなぜ、このような事態に陥ってしまったのか。そこにはラグビー特有の“ある事情”がある。

<次回へつづく>

#2に続く
「人件費を抜いても年間20億以上かかる」ラグビーリーグワンを悩ます“マネーゲーム”の現状…名門NECの脱退危機で考えるラグビーの「投資的価値」

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