濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「お前なんかプロレスやめろ」NY生まれ、北海道大学法学部卒の高学歴レスラー・月山和香がスターダムで“生き残った”理由「叩かれても嫌われても…」
posted2025/09/02 11:01
北海道大学卒の経歴を持ち、スターダム参戦4年目でリーグ戦にも初出場を果たした月山和香
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
スターダム所属の女子プロレスラーである月山和香は、デビューしてもうすぐ5年になる。しかし今でも、両親に自分の仕事が何かを伝えていない。
「向こうも詳しく聞いてこないので、イベント会社の営業ってことにしてます。連絡はするんですよ。地方遠征の時は“これから1週間、出張だから”とか“北海道行くけどお土産いる?”って」
親に心配をかけたくない、悲しむ顔を見たくないと月山は言う。子供の頃から心配をかけっぱなしだったから、今は余計にそう思うのだと。
ニューヨーク生まれ、北海道大学法学部卒という経歴
ADVERTISEMENT
月山のプロフィールでまず目を引くのが、ニューヨーク生まれだということ。当時、両親がニューヨークの病院に勤務していた。日本での生活は5歳から。英語はすっかり忘れてしまい、大人になってから勉強し直したそうだ。
子供の頃から体が弱く、病気がちだった。勉強が得意で読書が好きな娘を、両親は外に出したがらなかった。けれど本人は好奇心旺盛だった。
「習いごとをしたいと言っても“必要ない”、“あなたには無理”と言われてしまって」
それでも高校時代はソフトボール部に入った。親に反対されたので、練習に行くことは隠していた。卒業後に進学したのは北海道大学法学部だ。外に出ないどころか地方で一人暮らし。両親は驚いたはずだ。
「“(家から通える)東京の私立でいいんじゃない?”って言われてましたね。でもここで親元を離れないと、自分の好きなことができない人生になると思ったんです」
北大では推理小説研究会に入った。もう一つの趣味はダム巡り。自分の好きなことをする人生を手に入れた月山は、就職した医療機器メーカーも2年でやめてしまう。興味の赴くままアルバイトをしながら役者を目指し、演劇仲間に誘われて“女優によるプロレス”を標榜する団体アクトレスガールズ でデビューする。2020年のことだ。

