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井上尚弥の“刺客”アフマダリエフ激白「私たちの母国での生活は想像もできない」苦境から這い上がったウズベク・パワー「4団体統一こそ究極のゴール」
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2025/09/01 11:05
井上尚弥戦を前に実現したインタビュー。母国を代表して戦う強い意志を感じさせる言葉があった
――先ほど、井上があなたを高く評価しているという話をしました。そして過去、井上はスティーブン・フルトン、ノニト・ドネア再戦、オマール・ナルバエス、エマニュエル・ロドリゲス、ファン・カルロス・パヤノ戦など、強い相手と戦った時に最高のパフォーマンスを見せてきました。そのことを知っていて、ベストの井上と戦う準備をするつもりでしょうか?
「もちろんだ。正直に言うが、私は自分のベストを出すことだけに集中している。イノウエがどんな仕上がりかは気にしていない。彼は4団体統一王者であり、私がチャレンジャーなのだから、最高の状態で臨んでくるのだろう。特に日本でのイノウエはいつでも最高の試合をするイメージがある。私のキャリアで95%以上は敵地での戦いだったから、日本での試合でもまったく気にはならない。最も難しい環境、最高のイノウエを想定して準備しているよ」
MJが語る母国を代表する“誇り”
――世界的に注目度の高い今戦では、母国ウズベキスタンの期待も背負って戦うことになります。近年はプロ、アマ両方でウズベキスタンのボクサーの活躍が目立ちますが、あなたたちが合言葉のように使う「ウズベク・パワー」という言葉にはどんな意味が込められているのでしょう?
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「“ウズベク・パワー”とは文字通りの力強さだけじゃなく、団結の力でもある。私たちはオリンピックや世界選手権で結果を残してきた。パリ五輪では5つもの金メダルを獲得するまでになったが、その流れを最初に押し進めたのが私やイスラエル・マドリモフ(元WBA世界スーパーウェルター級王者)、ベクテミル・メリクジエフ(リオ五輪銀メダリスト)、シャフラム・ギヤソフ(2017年の世界選手権金メダリスト)、ハサンボーイ・ドゥスマトフ(リオ五輪、パリ五輪金メダリスト)といった仲間たちだった。彼らと共に10歳の頃から支え合い、何もない環境から這い上がってきた。
アメリカの人たちには、派手なものなどまったく存在しない私たちの母国での生活は想像もできないだろう。毎日、食べるため、飲むために一緒に戦ってきた。ボクシングはそんな私たちにぴったりのスポーツだった。苦しい生活の中で育ったからこそ、互いを家族のように思い、団結が生まれた。それが“ウズベク・パワー”なんだ。私たちは“ウズベク・パワー”とともに国を代表して戦うことを誇りに思っている」


