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野ボール横丁BACK NUMBER
「髪型自由化なのに…なぜ丸刈り人気?」佐賀北の甲子園優勝監督が語る“強豪公立野球部の今”「慶応が優勝して…チャラチャラして、と言えなくなった」
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/08/29 06:00
甲子園出場チームは丸刈りが多いが…佐賀北は髪型自由化に踏み切っていた
百﨑 髪の毛を自由にすると、野球部の雰囲気が緩くなるみたいに思う選手がいるわけです。自分たちはそれなりの覚悟を持って入ってきているのに、って。うちの伝統として夏の大会前はみんなでツルツルにしていましたから。うちは4年前から女子マネージャーを採用するようになったんです。そのときも選手たちから反感を買いました。女子マネなんていらない、と。それもやっぱり部の空気が緩むみたいに思うんでしょうね。
――今、百﨑さんはどういう立場で佐賀北の野球部に関わっているんでしょうか。
百﨑 僕は2017年に定年退職して、同時に監督も退きました。日本一になったちょうど10年後の年ですね。そこからは5年間、再任用という形で学校に残って、副部長を務めていました。今は再任用期間も終わって、ただ、「野球部アドバイザー」という肩書きをもらって野球部の手伝いをしているような感じです。総監督はどうかと言われたんだけど、それだけは勘弁してくれ、って。
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――なぜ女子マネを採用するようになったのですか。
百﨑 僕が監督の時代は女子マネはいませんでした。男子マネージャーはいたし、僕も女子マネには抵抗があった。ただ、県高野連も何かと経費節減を迫られていて、大会のウグイス嬢とかを女子マネがやることになったんです。それまでは大学生のアルバイトを雇ったりしていたんですけど。なので女子マネがいないと、相手チームに何かと迷惑をかけることになってしまう。だから、そのときも選手に頭を下げましたよ。そういう時代なんだ、って。
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――百﨑さんの話を聞いていて、高校野球の世界から丸刈りがなくならない理由が少しわかった気がしました。要するに野球部員も好きなんですね。そうして反対する部員がたくさんいるということは。
百﨑 伸ばしていいよと言ったのに2年半、丸刈りで通した選手もいましたからね。自由にするよと言っただけなので、もちろん、それでも丸刈りにしたいという選手がいたら、それをダメだとは言いません。
――「気合い=丸刈り」という意識は、今でも根強いですもんね。

