甲子園の風BACK NUMBER
「比嘉監督はイタズラ好き」「僕は正直怖い」沖縄尚学選手たちが証言…比嘉公也監督44歳とは何者なのか? 社会科授業を週15コマ「比嘉先生の授業が一番好き」
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph bySankei Shimbun
posted2025/08/23 06:00
沖縄尚学の比嘉公也監督(44歳)。夏の甲子園、同高初の決勝進出に導いた
担当教科は歴史・公民・地理。野球部監督の授業を部員はできれば受けたくない。そう考えそうなものだ。しかし、嶺井がこんな話をしてくれた。
「比嘉先生の授業が一番好きっす。冗談を結構挟むんで。体育科のクラス、野球部のほかにテニス部、柔道部の生徒もいるんです。先生にイジられるのはしょっちゅうで。授業の最後に一問一答があるんですよ。その授業で学んだ内容を先生が質問してランダムに当てていく。それに間違えると“写本”が待ってるんです。学んだ内容の教科書部分を次の授業までに書き写さなきゃいけなくて。それをクラスの3つの部活、対抗でやるんです。負けたらめっちゃ大変っす」
比嘉先生の授業、めちゃ面白いです――部員たちは口を揃えた。同時に、写本についてこんな証言もあった。クラスにいる3つの部活の中で「一問一答」で最も敗れるのが野球部だという。「比嘉先生、成績がいい人には当てないんで」。山内がいじらしく笑った。
となれば、脱力感あふれた準決勝後の会見取材。あれが比嘉の素顔なのかもしれない。
